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 第342回アニメ育成政策の現状

(2008年9月8日)

「2008年5月1日以降、全国の全てのテレビ局は、国外アニメ・国外アニメ情報・国外アニメ紹介コラムなどの番組放映禁止時間を従来の午後5時〜8時から午後5時〜9時に延長すること」「中外合作アニメを同時間帯に放映するときは事前に許可が必要」。これは中国ラジオテレビ総局が出した<テレビアニメ放送放映時間管理強化に関する通知>の内容。「上記の時間帯は必ず国産アニメを放映しなければならず、しかも、一日の放映量は国産:外国産が7:3以上でなければならない」とのこと。また、中外合作アニメや外国産アニメを輸入する時は必ず同総局の審査を経て許可証を取得しなければ放映できず、まさに保護主義もここに極まれり、と言ったところ。
なぜ、中国政府はなりふり構わない規制を行ったのでしょうか。其処には巨大な市場を形成しつつあるアニメ産業を日韓に席巻されていることへの焦燥感があります。必死の努力で“藍猫”“紅猫藍兔七侠伝”のようなヒットを生み出したものの、劣勢挽回には程遠く、そこで2007年3月にはCCTVがアニメ専門の会社を設立、4月には文化部・教育部など10部が省庁横断のアニメ産業発展支援会議に諮問委員会として専門家委員会を設立、その任務として年度ごとの<中国アニメ産業発展白書>の作成や国産アニメ輸出戦略の策定が挙げられました。こういった保護育成政策のおかげで、確かに各地にアニメ産業が育ってきてはいます。アニメ製作量上位5位の一級行政区には湖南・広東・江蘇・上海と浙江、オリジナルモノの製作量上位5位の都市には長沙・広州・上海・杭州・無錫が挙げられ、アニメ関係訓練機関は1300余り、アニメ企業は5000社に達し、アニメ産業基地も40を越えています。しかし、それだけでアニメ産業が本当に発展するのでしょうか。
アニメの勝負はオリジナリティ・内容、とわかっていても、余りに直截に“中国特色”にこだわっているために、自由な発想を制約している面があります。オリンピックがらみの“福娃奥運漫遊記”がそれまでの国産映画の平均視聴率0.5〜0.9%をはるかに超え、2.06%を記録しても、政府自身が指摘している如く、漫画→アニメ→関連グッズ→消費者という産業連関が形成されておらず、製作してもテレビ局が極安に買い叩いている現状では、いくら強力な保護政策を実行しても、結局はゆがんだ業界を形成してしまうでしょう。

三瀦先生のコラム