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 第351回水問題−汚染防止策−

(2008年11月10日)

水の確保では節水も大事な側面。現在の全国実質水供給量は年間5795億立方メートルで、用水量の増加速度は年平均1%以下に抑制されており、2010年には水供給量が更に400億立方メートル増加し、ほぼ水の需要を賄うことができると試算されていますが、その裏には、GDP1万元あたりの用水量が2006年に2000年比で41.8%減少し、農業では節水技術の向上により、300億立方メートルの節水が可能になったことなどが挙げられています。
水の汚染防止は水不足を補う重要なアイテム。2008年6月1日に<水汚染防止法>が施行されましたが、汚染防止を効果的に進めるためには、管理体制を一本化し、統一的基準を設け、企業の責任を明確にし、汚染防止コストを企業に負担させ、省エネ排出削減を掲げる政府のマクロコントロールと経済的利益の追求を協調させることが求められます。また、税制面でのサポート体制の強化、中央と地方の役割分担の明確化も重要なポイントです。
2008年1月、国務院は<重点湖沼水環境保護事業に関する意見>を関係部署に通達し、2010年までに重点湖沼の富栄養化に歯止めをかけ、2030年には美しい自然環境を取り戻すことを目標とし、製紙業・皮革業・醸造業などの設備の遅れた企業を淘汰する一方、2008年末までにあらゆる汚水排出企業に許可制度を導入し、基準値を超えた汚水を排出する企業には2008年6月末までの改善を義務付けました。また、農村に対しては、重点湖沼の最高水位1km以内で施肥量の多い野菜・花卉を栽培することを禁止しました。
江蘇省無錫市で2007年下半期から実施された「河長」は、正式な官職ではありませんが、市内64本の河川を市委員会や市政府の幹部が一本ずつ責任を負う仕組みで、「法治ではなく人治だ」という批判もある一方、「縦割り行政を打破し、実効性も高いので、実際的だ」と評価する声もあります。また、湖南省は、今年、北京首創社と合意書を交わし、BOT方式で同省の<全域整備3年計画>による汚水処理場の建設と運営を進めることになりましたが、同様な方式は江西省でも2008〜9年に60億元を投入して行われます。
北京経済技術開発区では、汚水処理率100%をベースに、二級処理水をもとに再生水を生産するマイクロ電子工業向け再生処理工場の一部が完成し、ノキアなど20社あまりに給水を始めました。全体が完成すれば、開発区全体の水供給量の60%に達するとのことです。

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