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 第360回世界同時不況対策−その3−

(2009年1月19日)

2008年11月5日、国務院常務会議は、内需拡大・経済成長促進(8%成長維持)のための総額4兆元にのぼる10項目の措置を発表しました。その内容は、廉価な住宅建設の促進、農村インフラ(バイオガス・飲料水・道路・電力ネットなど)の建設、交通インフラ建設、医療衛生と文化事業の発展、環境対策の促進、農村への各種補助金支給、金融支援(銀行融資総量規制停止)などで、世界規模の金融危機に各国が協力して当たる中で、中国政府としての積極的な姿勢を示したものといえましょう。
2008年下半期、中国政府は積極的な金融緩和政策を進めてきました。9月16日には1年満期の貸出金利を2004年10月以来、一部金融機関の預金準備率を2003年9月以来初めて引き下げ、住宅積立金の貸出金利も引き下げました。これらは10月9日にも更に引き下げられ、預金準備率の引き下げは全ての銀行に及び、6年ぶりに貸出金利と預金金利が同時に引き下げられました。また、預金金利に対する個人所得税の徴収も一時的に停止されました。
その後も10月30日、11月27日と更なる各種引き下げが実施されました。また、この間、銀行に対する貸し出し制限緩和が積極的に進められ、中国建設銀行・農業銀行・国家開発銀行など七つの銀行が3000億元に上る新規貸し出しを決めました。
金融緩和、投資の拡大、内需拡大とともに、輸出政策も再び積極推進へ舵を切りました。
増値税は8月1日に続いて11月1日に再度調整され、金融危機により大きなダメージを受けた紡績・服装・玩具といった労働集約型産業分野と、特殊先端技術など高付加価値産業分野の還付率が引き上げられ、更に17日には、3770の具体的な品目について個別に、12月1日からの引き上げ率が発表されました。また、2009年1月から増値税制度を改革することが決定されて、11月10日には、関連する増値税・消費税・営業税の暫定条例が公布されました。企業に対しても総額1200億元に上る減税措置が行われました。企業の新規設備購入時の増値税は軽減される一方、設備輸入時の増値税返還は廃止されました。また、中小企業を支援するため、小規模納税者の税率が3%引き下げられました。
こうした様々な景気対策は、各産業分野、各種公共建設・各地方の発展政策・中小企業・農村出稼ぎ労働者に大きな影響を与えています。それについては、今後またテーマ別に。

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