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 第四十回  最近の中国の日本観

 あと一ヶ月で、また、終戦記念日がやってきます。毎年この時期になると、靖国神社参拝問題が浮上し、特に昨年は、小泉首相の繰上げ参拝が話題を呼びました。
昨年の狂想曲に懲りたのか、今年、4月21日、小泉首相は、突然、靖国神社参拝を行いましたが、これに対し中国は当然のことながら反発しつつ、以下のごとく解説しました。
「なぜ、小泉はこの時期に参拝したのか?第1は政治的立場の強化である。最近、与党は、田中真紀子問題、鈴木宗男疑惑など不祥事続き。支持率も40%に下がっている。参拝することで党内主流の保守派の支持を取り付け、800万票を擁する遺族会の支持も取り込むことができる。」「第2に今年は日中国交回復30周年で、日韓共催のW杯開催もある。早めに済ますことで韓国との関係への影響を最小限に済ませたいからだ。」(人民日報4/25)
昨年の繰り上げ参拝後、中国では、かなり突っ込んだ日本分析が行われ、「福沢諭吉の<脱亜入欧>論に象徴される欧米崇拝とアジア蔑視が依然根底にあり、その一方でバブル破裂後の自信喪失と閉塞状況が、急成長する中国への嫉妬と焦燥感を一層煽り、右傾化を助長している」、との見方が大勢を占めました。そして、「偏狭な愛国主義を鼓吹する勢力は、扶桑社の歴史教科書の採用結果を見ても明らかなようにごく少数で、平和勢力が大半を占めてはいるものの、右、左を問わず、全体としては、徐々に右傾化の傾向にある。」と分析、今年5月31日の福田官房長官の核発言や野党小沢党首の発言にも警戒しています。
小泉改革については、その改革対象が半世紀にわたって形成された経済構造とそれに伴い増殖した既得権益構造であり、相当の痛みを伴うことを認めた上で、小泉改革が、一方的に痛みばかりを国民に訴えていることに疑問を呈し、「改革は苦痛だけではだめで、苦楽一体、しかも最終的には、得るものが失うものを上回らなければならない」と指摘、このままでは、歴史は彼に「苦痛先生」という名を進呈するだけだろう、と断じています。
最近の日本の空洞化と中国脅威論については、「アメリカの製造業の海外生産の割合は30%あまりで、日本の2倍ほどだが、空洞化など誰も心配していない。中国進出日本企業の70%は利益を上げており、対立を補完関係に変え、摩擦を相互依存に変えることは、両国の長期的利益に合致することだ」と協調を呼びかけています。

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