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 第409回検証:インフルエンザ対策−その1−

(2010年2月1日)

2009年年初、感染病関係の記事といえばトリインフルエンザの記事だったのですが、3月にメキシコ、アメリカと相継いでA型H1N1インフルエンザが発生してから今日まで、中国政府もその対応に追われました。2010年1月に衛生部が発表した統計では、2009年12月末までに全国31の一級行政区で12万498例が報告され、648人が死亡、12月1ヶ月間では2万8779例で、死亡は447人となっています。流行地域は全国に拡大し、海南省を除く全ての一級行政区で死亡例が確認され、北京・上海などでは峠を超える一方、農村地域に向けて拡大が続いているとのこと。2003年、突然のサーズの出現・流行が中国を震撼させました。対応は後手に回り、その反省から、大規模な突発性の事態にどう対処するかの検討が進められてきました。今回、中国政府の初動対応はどうだったのかを検証してみましょう。
海外での発生情報を受けた中国政府は、2009年4月28日、胡錦濤総書記の指示の下、温家宝首相が国務院常務会議を招集し、衛生部に対策チームを発足させるとともに、ブタによる感染と言うことで農業部も6項目の対策を立ち上げました。そして2日後の30日には早くも専門家による簡易検出法が開発されて防疫体制が整備され、また、WHOの発表を受けてブタインフルエンザという呼称をA型H1N1インフルエンザに改め、同日、B類法定伝染病に指定しました。5月に入り、香港で発症したメキシコ人の搭乗した飛行機の乗客が一週間隔離されるなど、騒ぎが拡大し始めました。5月5日、南方航空のチャーター便が現地に足止めされている中国人のためにメキシコに飛び、再び国務院常務会議が招集されて検疫・情報収集・医療対策・医療研究の強化に関する10項目の対策が指示されました。
5月11日、四川省成都でついに最初の国内感染者が確認されました。アメリカから里帰りしていた中国人留学生です。胡錦濤総書記は重要指示を発して緊急対策を指示し、李克強副首相が現地へ飛びました。続いて13日には山東省で2例目を確認、16日には北京で、19日には広東省でも患者が確認され、さらにチベットや福建省へも広がり、5月末には患者数が10人を突破しました。
5月26日付人民日報は、A型H1N1インフルエンザの予防線を「“国門”から“楼門” へ」と題する記事を掲げ、対策は第2防衛ラインへと後退せざるを得なくなりました。

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