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 第412回証券市場の新しい動き−中国版ナスダック−

(2010年2月22日)

2009年10月30日、深圳証券取引所で“創業板”「中国版ナスダック」の取引が始まり、内外の投資家から熱いまなざしが注がれた事は記憶に新しいと思います。7月26日に上場申請を受け付け、まず新素材・バイオテクノロジー・IT関係など108社の申請が受理され、9月には155社に達し、3ヶ月の審査を経て最終的にまず28社が上場しました。取引開始後人気は急騰し、各社の株は最低でも45%、最高で122%上昇、退け時には金亜科技が200%を超えました。
中国証券監督会は<新規公開株式の発行並びに創業板上場管理暫定規則>を公布したのは2009年3月31日。5月1日には“創業板”を開設する、と発表しました。2008年の全人代で創設が提起されてから10年余りを経、2008年3月に草案が発表され、1年間討議を重ね、漸く実現の運びとなりました。
上場の条件は、3年以上その会社を経営していて、なおかつ①最近2年間連続増益していて、且つその間の純利益が1000万元以上あること あるいは②ここ1年の営業収入が5000万元以上で純利益が500万元以上あり、ここ2年の増収率が30%以上あること。
また、いずれにせよ「直近の期末決算時に純資産が2000万元以上あり、発行後の株式総数が3000万元以上なければならない」となっていて、同時に一般市場より厳しい退出制度も用意され、健全性を保つ努力も払われました。
とは言え、“創業板”の創設は期待と不安が入り混じっています。優れたベンチャーを育成する揺り籠としての役割が期待される一方、A株市場におけるように、投資家が列を成して購入権を奪い合い、上がったと見るや一斉に売り注文に走るといった投機的な動きに席巻される可能性も高いからです。世界では既に75の“創業板”が開設されましたが、2007年末にはそのうち34が姿を消してしまいました。アメリカのナスダックがマイクロソフトやグーグルといった大企業も育てたようにその機能が果たせるか、が関心事になっています。
取引開始当日、株価の急騰は30分間の売買停止にまで至りました。初日の退け時には28社の株式時価総額は1400億元、純資産の20倍にも達しました。こういった情況が投機熱を煽る事は必至です。“創業板”の行方はまだまだ予断を許しません。

三瀦先生のコラム