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 第414回2009年人民日報日本関係記事−その1−

(2010年3月8日)

2009年は、世界同時危機に対する対応でどちらも内政に忙しく、更に日本の民主党政権誕生が重なり、日中外交で大きなイベントはなかった、と言ってよいでしょう。麻生首相の訪中や国際会議での首脳会談、鳩山首相の訪中もあるにはありましたが、注目が集まったのはむしろ中国の言論統制の大元締め李長春の来日くらいです。
大きな流れで言えば、世界同時危機を乗り切るための日中韓の経済協力が強調され、誕生した鳩山内閣についても一時は大いに期待が高まったものの、その後の迷走ぶりに、距離を置いて様子眺めに入った感があります。
そういった点から、日中関係というより、日本の政界の行方、日本経済の動向を紹介した記事が例年になく多かったのは当然と言えましょう。日本経済については、全体的な動向の他に、アジアの新興市場を積極的に開拓している事、国際水務市場への参入を国が後押ししていることなどが紹介されました。
2007年に再開された軍首脳による防衛交流は2009年も継続しました。領土問題が依然燻っているものの、11月には中国海軍の鄭和号が広島を訪問、同月27日には、日本を訪問した梁光烈国防部長と北沢防衛大臣の間で日中防衛部門共同コミュニケが発表され、日中の戦略的互恵関係の全面的な発展が謳われました。今後人的交流を一層深めると共に、毎年、日中防衛安全協議を開催する事、2010年から人民解放軍大軍区と陸上自衛隊の交流を行う事が明記されました。その一方で、北朝鮮ミサイル問題に絡む日本のミサイル防衛システムの構築については中国側も高い関心を示しており、韓国の状況も絡め、紙面を大きく割いて詳細な報道と解説が行われました。
毎年、一定の割合が割かれる過去の戦争に関する記事は今年も数パーセントを占めました。
その中では映画『ラーべの日記』『南京!南京!』に関する記事が目を惹きます。前者については、ラーべをシンドラーに比すべき人道的な人物として正面から評価し、後者については、日本兵角川の描き方についての中国や日本における様々な賛否両論が紹介されました。日本人の良心や苦悩を描く事に対する中国国民の戸惑いが浮き彫りにされる一方、個人と国家を分けて考える兆しも見え始めています。

三瀦先生のコラム