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 第四十二回  人材育成-その1:人才回流

 “留学をサポ−トし、帰国を奨励し、往来を自由にさせよう”をスロ−ガンに、海外留学者の帰国促進運動が盛んになっています。WTO加盟に伴い、金融関係者、ハイテク技術者、高等教育機関などの優れた人材の必要度が急速に増しているからです。
1985年以降昨年末までに、中国政府は累計2億元に上る資金を捻出して4000人以上の留学帰国者の科学研究をバックアップし、既に全国には20箇所以上の留学者サ−ビスセンタ−と60箇所以上の留学生起業区が設置されています。昨年初め、人事部は<海外にいる優秀な留学生の帰国を促進する事業に関する意見>を打ち出し、“優秀な人材”の定義も具体的に明記しました。また、昨年6月には、第10次5カ年計画に基づく<2002-2005年全国人材育成計画綱要>が発表され、その中でも、海外の人材と留学中の人材を吸収し活用することが大きく取り上げられました。
地域による優秀な留学生の争奪戦も激化する一方です。一昨年、北京市は、上海、広州などの政策を参考に、<留学者の北京での起業を奨励する事業に関する若干の規定>を発布し、取得が困難といわれている北京の戸籍を一定レベルの人材に大きく開放しました。  
これに対し上海は、浦東で起業する場合、15万元を無利子で貸付け、深圳も留学帰国者の起業に資金を提供すると同時に、企業を立ち上げるまでの一貫システムを構築、大連は昨年、遼寧省海外留学子弟起業区、大連市留学者企業区に加え、遼寧省博士起業区を設立、28人の博士が、電子情報、バイオテクノロジ-、エネルギ−、環境保護などの分野での企業化に取り組み始めました。既に在外企業で活躍中の即戦力となる人材の確保も有効な手段。特に、アメリカのITバブルが弾けた昨年末からは、シリコンバレ−の優秀な中国技術者の帰国が目立ちました。
ただ、今後、これらの海外からの帰国者を定着させ、その能力を最大限に活用するためには、経済面、待遇面での保障のほかに、彼らを迎え入れる企業のトップや為政者の意識改革が不可欠でしょう。自主裁量権の不足、古い経営観念や内向きの経営姿勢の押し付け、コ−ポレ−トガバナンスや企業倫理の欠如が彼らの“やる気”を大いに阻害しているのもまた事実なのです。

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