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 第447回南水北調プロジェクトの進展ぶり

(2010年11月30日)

南から北へ長江・淮河・黄河・海河を東線・中線・西線で繋ごうという“四横三縦”プロジェクト<南水北調>。2002年末に工事が開始され、2008年10月には国務院南水北調第三次建設委員会が「東線1期工事は2013年に通水」「中線1期工事は2013年に主要工事を完成、2014年増水期以降に通水」という新しい目標を掲げて建設を加速させました。同年11月、東線済南市区間や天津市幹線工事が着工、他区間の各種工事も一斉に準備段階に突入しました。東線・中線1期工事の総投資額は2546億元と見積もられ、年にGDPを0.2〜0.3%押し上げ、50万〜60万人の雇用を創出するという見通しも示されました。
2009年は年間で164億5千万元を投入、中線京石区間では、完成部分を利用して6月までに河北省の3つのダムから3億3千万立方メートルの水を北京方面に調達、夏の水使用ピーク時には需要の60%以上を供給しました。同月、南四湖と東平湖を結ぶ東線両湖区間の工事が、その翌月は、完成後毎年天津市に10億2千万立方メートルの水を供給する中線天津幹線河北省内工事区間が着工するなど、年末時には24のプロジェクトが展開され、投資額も過去6年間の総和に匹敵しました。こういった中、2009年12月22日、黄河を潜り抜ける、深さ40メートル、全長4250メートル、直径7メートルの最初のトンネルが開通しました。2014年の全面完成後は年に95億立方メートルの水を送ることができます。
南水北調のスローガンは“先節水、後調水,先治汚、后通水,先環保、後用水”。水路建設と平行して水質の向上も急務で、2009年初頭には25の東線汚水流入防止プロジェクトが全て着工され、2010年上半期には、江蘇省と山東省で426の汚染対策プロジェクト全てが着工、そのうち399が完成しています。また、山東省は業界基準を2.5倍上回る厳しいCOD(化学的酸素要求量)排出基準を設定、生産量5万トン以下で目標に達していない29のパルプ工場を閉鎖、湖北省丹江口も冶金・パルプなど123社を閉鎖しています。
工事の進捗に伴ない、移民対策も本格化しています。湖北省丹江口ダム地区では34万5千人が移住を余儀なくさせられていますが、三峡ダムの10年に比べわずか2年間あまりで移民を完成するのにはかなりの困難が予想されます。2009年8月から2万3千人を対象とした試験的移住が行われ、2010年6月にいよいよ全面的な移住が開始されました。

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