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 第450回香港とマカオの変化−その1:香港

(2011年1月11日)

香港とマカオを一国二制度の枠の中でうまく取り込んでいけるかは、将来の台湾統一を見据えた中国政府にとっては大事な試金石。
2003年6月に締結されたCEPA(内地と香港の経済貿易緊密化協定)は2004年から2010年までに7つの補充協定を追加しました。例えば2009年6月の6回目の補充では、貨物貿易・サービス貿易・貿易投資の利便化の面で一層の優遇措置が採られて研究開発や鉄道輸送などの領域が加わり、2010年5月に締結した、2011年1月実施の7回目の補充でも更に19の領域で35項目の市場開放や貿易投資利便化措置が認められました。その中には、香港人が上海・重慶・広東・福建・海南などで独資で病院を開設できることや、内地に三資企業の形態でAV製品の制作を行う会社を設立できる事などが含まれています。
CEPAが実施されてから6年間、香港のGDPは年平均6.3%の成長を持続し、特に金融面で緊密化が着実に進められました。2003年に中国人民銀行が香港銀行に人民元による決済を認め、2005年には個人向けも可能になりました。また、2007年には内地の金融機関の香港での元建て債券の発行が国務院の認可を経て認められ、翌年には珠江デルタ、長江デルタなど一部地域対象の貨物貿易の人民元決済もテスト的に開始されました。2009年には香港の41の銀行が人民元業務を始めると共に、外資系銀行にも元建て債券の発行が認められ、一方、中国人民銀行と香港金融管理局の間では支払い通貨の多様化が図られ、まず、香港ドル・米ドル・ユーロ・ポンドがその対象に組み入れられました。証券市場でも150社を超える内地企業(H株)が香港で上場しており、レッドチップ(中国本土系香港企業)も約100社ほどに上っています。今、香港には内地の証券会社やファンドが次々に進出して香港市場への投資を強めています。2009年1年間で香港に登録した企業は全部で史上最高の109424社、内地から香港を訪れる観光客も2010年は上半期だけで前年比20%増の1500万人を超え、特に個人旅行の増加が目立っています。
ただ、こうした一方で、香港の民主派が2010年1月に呼びかけた完全な普通選挙の実施に対しては断固として容認しない姿勢を示しており、同年6月に採択された2012年の立法会の選出と行政長官選出の修正案にも体制維持の工夫はしっかりと組み込まれています。

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