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 第466回第12次5カ年計画が語るもの−その2−

(2011年5月10日)

第12次5カ年計画の骨子に触れる前に、前回の記述以外に、今後の5年間に関わるいくつかの重要事項を挙げておきましょう。
まず第一に人口問題です。1979年に一人っ子政策が本格的に始動し、30有余年を経て、今日では“四二一”世代構造(老齢人口:成年人口:少年人口=4:2:1)の出現が危惧されるまでになりました。現在、低出産レベルの維持により2030年ごろには人口増加率がゼロになるという予測が立てられていますが、若干の手直しは行われているものの、その間、高齢化問題や人口総量とそのピーク値が経済へ与える影響、地域間の流動傾向とそれによる地域分布のアンバランスなどの問題は軽視できません。また、これに関連したルイス・ターニング・ポイントの到来と雇用の問題にも準備が必要です。
経済構造の転換は貿易構造の転換と表裏をなしています。内需主導型に転換するとはいえ、輸出の振興は経済成長の大黒柱であり、それを視野に入れた構造転換でなければなりません。中小企業が依然雇用の主役である情況の中で今後の通貨政策に耐えうる輸出構造をどう構築して国際的な経済危機に強い体力をつけるかは、生易しい問題ではありません。更に環境と資源も主要な課題になります。
こういった諸問題を踏まえて2010年末に第12次5カ年計画提案が提示されました。その目標では、投資主体の経済成長から消費主体の経済成長を目指す事、サービス業の育成、都市化率の向上と都市と農村の結合、エネルギーの節約と排出削減、所得の増加と経済成長ペースの一致などが謳われました。また、これに直結するテーマとして民生(社会保障、医療・教育システムの整備など)の向上も大きく取り上げられました。
注目を浴びたのが近代的産業システムの形成と競争力の向上に関する戦略で、次世代IT産業、省エネエコロジー産業、新エネルギー産業、バイオ産業、ハイエンド設備製造業、新材料産業、新エネルギー自動車産業という7つの戦略的新興産業の育成が示されました。また、10周年を終えたばかりの西部大開発は今後も新5ヵ年計画のなかで重要な地域開発戦略として位置づけられてます。忘れてはいけないのが文化産業、特に映画やアニメ市場での戦略で、官民挙げての猛烈な取り組みには目を見張るものがあります。

三瀦先生のコラム