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 第478回住宅問題の動き−その2−

(2011年8月1日)

⑥ 主要都市で2軒以上の住宅を持つ家庭は、それ以上現地で住宅は購入できない。
→現地戸籍がない家庭は1軒以上持っていたらもう購入資格がありません。
⑦ 住宅の保障と住宅価格安定についての協議問責メカニズムを作る。
→省レベルの人民政府と関連部門に上述のメカニズムの確立を求めています。
⑧ 中国の国情に合った理性的な住宅消費へと民衆を導く。
→メディアに対し、健全な消費へ民衆を誘導する報道を心がけるよう指示しています。
不動産バブルの主要原因に、過去2年間の積極財政政策、ホットマネーの流入、有り余る人民元の参入投資、はたまたインフレからの緊急避難的資金の流入などがあることは周知の事ですが、一般庶民の住宅に関する意識も大きく関係しています。家を購入していないと結婚してもらえない、という風潮は依然根強いものがあり、しかも価格上昇が激しいので早めに買おうとします。北京市では2010年、住宅購入者に占める30歳未満の割合はなんと38%、初めて住宅ローンを申し込む人の平均年齢が27歳というのですから若年化は一目瞭然です。ちなみに日本人は初めて住宅を購入する人の平均年齢は42歳です。若年層の住宅購入には親の援助に期待がかかりますが、それが無理だと本人に巨額の負担がのしかかり、いわゆる“房奴”、即ち「住宅の奴隷」を生むのです。給料の半分以上が住宅ローンの支払いに消える例も少なくなく、“先租後買,先小後大”という“理性消費”が声高に叫ばれる所以でもあります。
住宅価格を引き下げるには別の面の工夫も必要です。例えば、地方政府の資金調達が土地財政に過度に依存している問題、住宅価格に占める土地価格の異常な高さ、住宅保有者に対する税制の不備なども見逃せない要素で、こうした中、なかなか実現しなかった不動産税について、2011年になると重慶市や上海市などが次々と導入に動き始めました。こうした動きは、今後、急速に拡大する事が予想されますが、富裕層に厳しく中低所得者に優しい制度設計ができるか、自主納税があまり期待できない中国人にどうやって納税させるか、不動産価値をどうやって見積もるか、など、まだまだ解決を要する難題も多く、取引規制から保有規制へと大きな一歩をうまく踏み出せるかに大方の関心が集まっています。

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