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 第489回禁煙

(2011年10月11日)

喫煙者3億5000万人、喫煙による年間死亡者は約100万人と死亡者総数の12%を占め、受動喫煙者が7億6800万人に上る喫煙大国中国で、2011年1月1日から、あらゆる室内の公共の場所、室内の仕事場、公共交通内、室外の公共の場とみなされる場所の禁煙が求められます。2005年にWHOのタバコ規制枠組み条約が発効、中国も翌年1月1日から同条約を正式に履行、「5年後には公共の場を100%禁煙にする」と公約したからです。
これより先2008年に、北京市政府は<公共の場所での喫煙禁止範囲に関する若干の規定>を出し、10種類の禁止箇所を規定、喫煙室や喫煙コーナーの設置可能な場所として、飛行機・汽車・長距離バスなどの待合室、食堂やネットカフェ、公園、娯楽施設を挙げました。広東省広州市は2010年9月1日に<広州市喫煙規制条例>を施行して12319番の通報ダイヤルを設置、違反者には200元〜1000元の罰金を科すことにしました。衛生部では全面実施を控え、2010年、率先垂範して部内にプロジェクトチームを設け、「他人にタバコをあげない、上司に勧めない、人から貰わない」運動を始め、1年間禁煙に成功した者には500元の褒賞金を支給する事にしました。教育の場では、同年、教育部と衛生部が連合で<学校禁煙活動の一層強化に関する意見><学校禁煙参考基準>を公布、幼稚園から高等学校までは全面禁煙、大学も教室棟・事務棟・図書館は全面禁煙にしました。また、教師は学生生徒の前でタバコを吸ってはならず、学生がタバコを吸っていたらやめるよう説得することが求められました。この他、喫煙シーンの多いテレビ・映画作品も槍玉に上がっています。
2010年3月に<上海市喫煙規制条例>を施行した上海市は、罰金も最高3万元にし、禁煙場所の拡大、詳細な管理内容を規定、また、取締りの困難を解決するために、1万人の喫煙取り締まりボランティアを募集することにしました。その一方で、仏作って魂入れず、2010年までに既に150以上の都市が公共の場での禁煙を規定したにもかかわらず、規制などどこ吹く風、というのが現状です。
第12次5カ年計画に正式に書き込まれた公共の場での禁煙実現。「平均寿命を1年増やす」という目標の達成にも深く関わります。2011年5月1日、<実施細則>が実施され、正式に「室内の公共の場所の禁煙」がスタートしましたが、いまだに戦果は曖昧とも。

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