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 第518回福祉事業の問題−その2−

(2012年05月14日)

民間における様々な義捐金活動に対し、これを管理する法律を制定しよう、と言う動きもあります。2011年6月、広東省広州市は<広州市募捐条例>について公聴会を開きました。政府は「インチキ活動を取り締まり、慈善事業に対する信頼回復が狙いで、行政許可によって活動母体の資格を明確化し、活動をサポートして運動を拡大発展させることを趣旨とする」と説明しています。同様な地方法規には既に<江蘇省慈善事業促進条例><湖南省募捐条例>などがありますが、「法規を守ってペテンを行う事も可能で、人と人との間の信頼関係に任せるべきだ」「大事なのは寄付を集めた後の財務処理の監督だ」という意見もあります。
中国における公益慈善組織は近年急増しており、2005年から2010年の5年間で国の民生部門に登録している組織は10万件増え、44万件に達しています。基金会も975機関から2168機関に増え、寄付総額も2006年の100億元が2010年には700億元を超えています。様々な意見に対し民生部は、慈善組織の登録促進、寄付行為の規範化、情報公開システムの整備、税優遇政策の徹底、年次審査による監督管理制度の確立などを盛り込んだ<中国慈善事業発展指導綱要(2011−2015年)>についてパブリックコメントを行いました。また、<公益慈善捐助情報公開の手引き>(パブリックコメント版)では、「支援実施後は、1ヶ月以内に公表し、更にその後も関連情報を定期的あるいは不定期的、なおかつ6ヶ月以上の間を空けずに公表する」こと、寄付を受けた場合は「一般には7日勤務日以内、重大な特定案件については24時間以内」に発表する事が規定されています。
慈善事業の資金集めが権力と癒着しがちな点にも関心が集まっています。広東省東莞市の政府部門では、“月月捐”といって、銀行カードから毎月自動的に一人10元引き落とされ、洛陽・西安など各地の小学校からは「赤十字会への入会を強要され、会費5元徴収された」といった情報も伝わっています。
南都公益基金会の徐永光理事長は慈善事業の不透明さを「5つの“見えない”」で表現しています(人民日報2011.11.10)。「① 寄付した人が見えない②被災地の被災民が見えない③被災地区の行政府が見えない④被災地区の慈善組織が見えない⑤寄付の使途が見えない」。7月、赤十字会は「2年以内に情報公開をする」と発表しました。「えっ、2年もかかるの?」

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