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 第526回法整備と刑事訴訟法の改正−その1

(2012年07月17日)

2011年1月に開催された<中国の特色ある社会主義法律体系形成座談会>で、呉邦国全人代委員長は、1997年の15全大会で打ち出された「2010年には中国の特色ある社会主義法律体系の形成を」と言う目標が達成されたと宣言、「わが国社会主義民主法制建設史上の重要なマイルドストーン」と自賛しました。実際、第11次5カ年計画最終年2010年で見ると、国が制定した現行法律は236件に達し(憲法や全人代・国務院・裁判所・検察関連など38件、物件法・契約法・著作権法・会社法など民法・商法関連33件、国防法・公務員法・人民警察法など行政諸法81件、土地管理法・独占禁止法・省エネ法など経済関係法56件、労働法・労働契約法・老若婦女に関する権益保護法など社会法18件、刑法・刑事訴訟法など10件)、その下に行政法規690件余り、地方法規8600件余りが制定されています。
過去、1988年の憲法には企業の経営形態に私営が加えられて個体企業が保障され、1993年には人民公社の廃止で社会主義市場経済が登場、“依法治国” が明記されるなど、それぞれ時代を反映した改正が行われましたが、今回の「中国の特色ある社会主義法律体系」はどんな現状を反映しているのでしょうか。呉邦国はその柱として①共産党の指導 ②中国の特色ある社会主義理論体系の指導 ③中国の国情と現状に立脚する ④人民を第一に考える ⑤社会主義法制の統一性 の5点を挙げています。②は中国的マルクス主義、三つの代表理論、科学的発展観などを指し、③は社会主義初級段階理論を援用した発展への柔軟な取り組みを、⑤は国家の安定、民族の団結、社会の安定のための措置を指します。
こうした点を更に掘り下げて説明したのが張文顕中国法学会副会長(人民日報2011.3.13)で、氏は今回の法体系の整備を、「“世界5大法系の一つ”中国法体系の人文精神を受け継ぎつつ、民主法治・自由平等・公平正義・科学的理性・社会の調和を取り入れたもの」とする一方、「共産党の指導が中国の特色ある社会主義法治の根本的保証」であり、「現代の中国の政党制度は中国共産党が指導する多党協力、政治協商制度」であるとも述べ、「中国共産党の指導が無ければ法治は空想に過ぎず、正しい方向から逸脱する」と結論付けています。こういったコンセプトの下で2012年春の全人代で採択された改正刑事訴訟法はどんな内容を含んでいるのでしょうか。それは次回に。

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