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 第536回考古学この1年

(2012年09月24日)

河北省邯鄲の鄴城遺跡東部の北呉庄で2012年の春節に仏像埋蔵坑の緊急発掘が行ったところ、なんと2895体の仏像と78体分の破片が発見されました。一部が青玉のほかはほとんどが白玉で作られていて、北魏または唐代の特徴を備えている仏像も多少はあるものの、ほとんどが南北朝時代の東魏から北斉時期の仏像と推定されました。
中国社会科学院考古研究所研究員朱岩石博士の説明では、「鄴城は3〜6世紀末まで北方の政治経済文化の中心で、この発掘から鄴城が仏教の中心でもあったと推察される。」「埋められている様子から見て、一度に埋められたようで、唐代の廃仏毀釈運動が絡んでいると考えられる」とのこと(人民日報2012.3.20)。
この1年も中国では様々な考古学上重要な発見がありました。2012年1月に発表された<中国社会科学院考古学フォーラム・2011年中国考古学新発見>では、発見された青銅器のほとんどに銘文が刻まれていて、しかもその中にはこれまで全く知られていなかった人名が多数あり、西周時代早期の方国関係の研究に重要な資料となる湖北省随州市の葉家山西周墓地、規模の大きさと出土文物の多さとその貴重な価値で学界に衝撃を与えた江蘇省盱眙県大雲山前漢江都王陵などを含む6箇所が選出されました。また、4月には上記2件も含む<2011年度中国十大考古新発見>も発表されました。
翌5月、浙江大学で、2008年に盗まれて海外に売られた戦国時代の楚国の竹簡160枚が初めて公開されました。およそ紀元前340年頃のものと推定され、中には<左伝>も含まれていて、当時既に<左伝>が存在していた、とする説の重要な裏づけとなりました。
2004年から発掘が続いている周公廟遺跡の発掘は、これまでに1万片以上の西周時代の甲骨片が出土、中には周公旦自身が使用したものも含まれており、2600字が解読されています。2011年7月に開催された中華文明の起源を探究する研究会では、「李元星氏が殷墟の甲骨文から“夏”の文字を発見した事は、夏王朝の実在を証明するものであり、“黄帝”の存在をも示すものだ」との見解が示されました。
様々な発見は司馬遷の『史記』に記載された“三皇五帝”という神話上の人物のベールまで徐々に剥ぎ取りつつあります。考古学ファンにとって興味は尽きません。

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