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 第559回中国自動車業界の再編と動向−その2−

(2013年03月04日)

2015年完成車企業上位10社集中率90%の達成は、2012年の87.3%からみればさほど難しい数字ではありません。問題は中味。シェアの半分以上は外資との合弁ブランドで、民営は長城汽車1社のみ。唯一独資の奇瑞もついに2012年10月にイギリスのジャガー・ランドローバーと合弁。中国自動車最大手上海汽車も2012年販売台数450万台のうち自主ブランド車はわずか20万台。中国の自主ブランドシェアは年々低下、2012年7月には24.31%まで落ち込みました。このままでは今後5〜10年で3分の2の自主ブランド企業が消滅するとも。
こうした状況に対処すべく、既に2009年3月の<自動車産業調整振興プラン細則>では“四大”(第一汽車・東風汽車・上海汽車・長安汽車)企業に全国的吸収合併を、“四小”(北京汽車・広州汽車・奇瑞・中国重汽)企業には地域内吸収合併を奨励、その後、広州汽車が長豊や吉奥を、長安汽車が中航汽車や昌河汽車・哈飛汽車を合併しましたが、結果は芳しくありませんでした。自動車企業は地方のGDP・税収・業績に貢献大、したがってチベット以外どこの省レベルにもあり、合併で地元に利益を残せるか、地方政府の干渉を排除できるか、が難問です。もちろん、企業文化の違いや吸収する側の力不足も。2012年11月、業界第6位広州汽車と第7位奇瑞が戦略的同盟関係を結びましたが、これも中身が問題でしょう。
中国自動車市場は景気の減速や補助金制度の終了で、2012年、国内主要25社中目標達成は10社のみ。これに大都市のナンバープレート発給制限も加わり、低価格の小型車は大都市の消費の対象外になり、自主ブランドを直撃しました。ただ、長城自動車はSUVで先行し、販売が3割伸びて自主ブランドビッグスリーに入りましたが、他社が安易にそれをまねて過当競争に。低価格路線の奇瑞・BYDなどは外資系の低価格車種強化の煽りで伸び悩みました。今後は新車市場の30%を占めるといわれる中小都市への進出が鍵になりますが、課題は量より質、つまり、自主ブランド車の質が消費者のニーズに追いつけるかでしょう。販売ネットワークは多い企業でも千か所くらい、県数の3分の一では到底サービスも足りません。
2012年6月、中国政府は上海など5都市で電気自動車とハイブリッド車の購入補助制度を試験的に導入することを明らかにし、重慶市も農村地域を対象とした自動車購入補助政策を開始しましたが、買い替え補助も含め、消費喚起に様々な工夫が求められています。

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