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 第563回化学性砂嵐の恐怖

(2013年04月01日)

中国の大気汚染と毎年春に起きる砂嵐の日本への影響が大きな関心事になっています。砂嵐は今年も既に中国北部で3月上旬に大規模な襲来が観測されましたが、ここ数年、頻度や強度は低下傾向にあります。その一方で、砂嵐が凶暴性を増している点が日本ではほとんど知られていません。この点について、2年前の2011年4月12日付人民日報に掲載された「化学物質入り砂嵐」についての記事を簡単にご紹介しましょう。
「近年、北京で砂嵐が吹き荒れた期間は、上気道感染・接触性皮膚炎・急性結膜炎などの患者が普段より2-3割増える。それは砂塵に含まれるPM2.5など大量の微粒子化した塩分のせいで、その濃度は海水の3.5パーセントに近い二・三パーセント以上になっている」
「砂嵐の発生地は主に内モンゴル西部、新彊ウイグル自治区だが、地球温暖化の影響で、干ばつが続き、西北部全域では干上がった塩湖の面積が一〇万平方キロ以上に達し、河北・内モンゴルだけで面積五〇平方キロ以上の六つの塩湖のうちすでに五つが完全に干上がっている。砂嵐の塩分は主に内モンゴル地方などの干上がった塩湖に由来する」
「現在、衛星写真から砂塵の発生場所・動力源・拡散経路が研究されているが、こうした研究には、砂嵐の夾雑物の化学成分とその影響、夾雑物顆粒の大きさと砂嵐の動きとの関係が抜け落ちている。北京を襲う砂嵐には本格的な化学性砂嵐もあり、北京より北に数百キロの範囲にある干上がった塩湖では何度も化学性砂嵐が起きているが、それには砂はほとんど含まれず、粉塵が極小で、表面積が大きく比重が非常に軽いため遠距離に広がることも可能になる。塩湖に沈殿している鉱物には、硫酸塩・硝酸塩・塩化物など七〇種あり、水にはナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リチウムから重金属元素・重放射性元素など六〇種あまりの化学成分が含まれているのである」
「近年、チャガノール地区において化学性砂嵐は数十キロにも及ぶ扇形の汚染地帯を作り上げているが、汚染地帯の表土はすべて塩に覆われ、草にはそれが霜のように結晶している。
周辺数百平方キロの牧草地は無残に退化し、すでに砂漠化が広範囲に広がっている。牧畜民が家畜を囲っておく鉄条網も一年で腐食するという」
「まるで原子爆弾のようです。殺傷力がすごい。ほんとうに恐ろしい」

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