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 第565回2012年の人民日報日本関係記事−その2−

(2013年04月15日)

経済面では、人民元の国際化の側面援助にもなる人民元と日本円の直接取引が2012年6月1日から東京と上海で同時に実現したことに絡み、年初からこれに関する記事がいくつか見られました。直接取引が実現する前は、日中貿易の60%がドル建て、30%が円建てで、元による決済は1%にも満たないものでした。2001年から2010年までに日中間の貿易額は2.5倍に増加し、その額は26兆5千億円に達し、中国に進出した日本企業も22万社を超えました。外国為替市場での元と円の交換は、通常はドルが介在することで、ドルの影響を受けるとともにコストもかかることから両国にとって、直接取引よるメリットが大きかったのです。3月には日本が中国国債を650億元購入することを表明、これに対し、中国社会科学院が「東アジア地域の金融協力に関する有益な試みだ」などとその3つの積極的意義を述べた記事も掲載されました。7月11日には取引の好調な滑り出しが紹介され、日中の金融機構はもっと協力を強化すべきだ、との主張も掲載、また、日本円の強さと、それに基づく日本企業の積極的な外国企業買収も詳しく解説されています。
そのほかでは、同年5月頃は、日本企業にとって中国は依然として魅力的な市場であること、日本が9月に超小型実用衛星WNIを発射して北極航路の探査をすること、クラウドサービスに対して多くの日本大企業が積極的に取り組んでいることなどがクローズアップされていました。また、6月21日付けでは、日本がベトナムをはじめ世界中で血眼になってレアアースを探していることがかなり大きな記事として掲載されています。
一方で、日本経済の問題点や不振を紹介する記事はかなりの量に達しました。2012年2月ごろは、「日本の貿易赤字は一時的なもの」と解説する記事と共に、「日本の電機業界の再編は中国にとっても他人ごとではない」「エルピーダの破産は開発能力不足にあった」と警鐘を鳴らす記事も見られ、その後、8月ごろまでは、「株価の続落」や「巨額の財政赤字」「『新経済戦略』の具体性の欠如」「生産ラインの海外移転」などの記事が目につきました。
尖閣問題が先鋭化した9月以降11月までは、「秋葉原には閑古鳥が」「経済指標は低迷」「量的緩和も効果なし」「破産企業が増加の一途で、人材も不足」と、中国の制裁の下、日本が苦境に立っている点を印象付けるような記事が並びました。

三瀦先生のコラム