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 第566回2012年の人民日報日本関係記事−その3−

(2013年04月22日)

2012年はまさに尖閣問題が吹き荒れました。月別にどういう経過をたどったのか記録しておきましょう。そこからおのずと見えるものがあります。
1月から3月の尖閣関係記事は少なく、“釣魚島”の主権を主張し日本側の島の命名に抗議する記事、国家海洋局の“海監”2隻の“釣魚島”巡行に関する記事等7本前後でした。4月16日に石原都知事が島購入計画を発表した後も7月7日までは直接的記事は数編に止まり、従来の石原氏の個人的パフォーマンスの延長と見ていたようです。事態が変化したのは7月7日の日本政府の国有化方針発表後で、翌8日に、外交部が国有化に断固反対する記事を掲載、同月末までに7本ほど掲載しましたが、事態を深刻化するような記事はまだありません。 
8月15日に香港の保釣行動委員会のメンバーが尖閣諸島に上陸し逮捕され、2日後に送還されましたが、抗議の記事は3本ほどでした。むしろ、中国に対抗する日米の軍事的協力に神経を尖らせる記事が目につきました。ところが、19日から中国全土で反日デモが発生、月末には丹羽大使の車の妨害事件も発生しました。しかし、これらに関する記事は一切ありません。一方、24日に衆議院が尖閣列島に関し断固とした姿勢を示す決議を採択、野田首相が日本の固有の領土だ、と明言したことに対し、初めて“強烈な不満”を正面からぶつける記事が掲載されました。それでも9月10日までは目立った記事はありませんでした。
9日、胡錦濤国家主席がウラジオでのAPECで国有化をやめるよう野田首相に表明、しかし、10日に日本政府が国有化を宣言したことで、事態は一変しました。11日、外交部の声明が発表され、気象局は“釣魚島”の天気予報を始め、 12日からは各団体の抗議声明が続々掲載され、14日に“5万人観光客訪日計画”が中止になり、見出しで数えると30日までの関係記事は70本を数えました。10月は20本ほど掲載され、諸外国を味方に付けようとする記事と共に、歴史的検証で領有権を主張する記事が目につきました。中でも12日の国紀平署名の記事は詳細にわたっています。
11月は党大会開催に関する記事で埋まり、掲載された関係記事は一転して寂寥たるものでしたが、党首脳部が入れ替わった12月はまた2ケタに達し、日本で16日に総選挙が行われたのを契機に、漸く日中関係改善を呼びかける記事が複数登場し始めました。

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