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 第571回交通信号と交通マナー論議

(2013年05月27日)

「舌尖上的中国」(舌で味わう中国)が話題になった2012年、問題になったのが「汽车上的中国」(モータリゼーションの中国)。2012年10月時点で中国のエンジン車両は2.38億台、その前年2011年の統計では交通事故による死者は6万人を超えていますが、その一因が日常茶飯事の「闯红灯」(赤信号無視)と「中国式过马路」(中国式道路横断)。ところがその中国に異変が起き始め、「闯红灯」どころか「闯黄灯」が議論され始めたのです。
2011年7月、浙江省嘉興市海塩県の舒江栄さんが黄信号を無視して罰金150元を徴収され、法律上の根拠がないとして交通警官を裁判所に訴え、全国初の黄信号を無視に関する行政訴訟として話題になりました。舒江栄さんは敗訴しましたが、一体、黄信号は停車すべきか否か、その時点で停車ラインをオーバーしているかいないかの点も絡めて議論になりました。道路交通安全法実施条例第38条では「その時点でラインを超えていたら進行してよい」と規定されています。でも、一定のスピードを出していたら、停止ラインの前で黄色になっても急ブレーキはかけられません。「それでそのまま進行したら違反になるのか」というのです。
ネットでは、アメリカのカリフォルニア州の「黄色になったとき、安全に停車できる時は停車を、そうでない時は気を付けて進行を」を引用し、「黄信号は“気を付けて”という意味だ」という意見も。行政側では、安徽省交通警察は「黄信号中は通行してよく、処罰もされない」との見解、一方、湖北省武漢市交通警察は「黄信号を無視は交通違反、黄信号が点ったとき、後輪が停止ラインを超えていないのに突っ走ったら交通違反、100元の罰金、3点減点」とのこと。「赤信号の場合、停止時に後輪が停止ラインを超えていなければ罰せられない」という規則を黄信号にも援用しているわけです。
もう一つ話題になっているのが「中国式过马路」、つまり、「赤信号みんなで渡れば怖くない」。調査によれば50%以上の人が赤信号を無視。その結果、2012年1〜10月で赤信号無視による死者は798人にも。「“中国式过马路”はどんな心理状態を反映しているのか」(人民日報2012.10.16)、「“中国式过马路”をどう解決するか」(2012.12.12)、「赤信号無視をすべて通行人のせいにするな」(2012.12.20)、「近道するのがなぜ当たり前に」(2013.1.17)など、議論は白熱しています。

三瀦先生のコラム