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 第577回贅沢の戒め、諸現象−その1

(2013年07月08日)

2013年上半期、贅沢と浪費を戒める旋風が吹き荒れました。これには二つの流れがあり、一つは、本コラム(第449号・450号)でも書いた「三公経費」の公費による野放図な飲食に対する取り締まりで、もう一つは、社会全体の贅沢と浪費に対する風紀是正です。
前者については、その根源にある官の「酒文化」に対し既に人民日報に幾つか批判記事が掲載されており、中でも2012年1月10掲載「役人の酒文化は何を醸成したか」(趙蓓蓓)は出色で、そこで紹介されている巷の歌は核心をついています(三潴訳)。
「八両いけるぞ一斤飲もう、こういう同志は太鼓判。一斤いけるぞ八両飲もう、こういう同志は教育せねば。白酒いけるぞビールにしよう、こういう同志は飛ばしてしまえ。ビール飲めるぞジュースにしよう、こういう同志はお払い箱だ」
「トップの役人酒飲まなけりゃ、味方は一人もいなかろう。中堅役人酒飲まなけりゃ、情報一つも入らない。ヒラの役人酒飲まなけりゃ、前途に希望は一つもない。規律管理部酒飲まなけりゃ、手がかり一つも得られない」。
どこもかしこも「高級な宴席を設けて上役に取り入る人」「酒を贈って私腹を肥やす人」「酒を勧め、次々と杯に注ぎ、罰として飲ませて面白がる人」「部下に飲めと命じて上役風を吹かす人」「酒に溺れて我を忘れ、政事を忘れ、仕事を誤り、醜態をさらす人」「酒の席につきあいたくはないのに、それができずに苦しむ人」「終日酒席につきあって体をこわし、家庭の不和を招き、更には殉職してしまう人」ばかり、と言うわけです。
後者は以前から久しく唱えられ、民間では余った料理を“打包”「持ち帰る」習慣が根付き、中唐の詩人李紳の詩「憫農」の「春種一粒粟, 秋成萬顆子。 四海無閒田, 農夫猶餓死。 鋤禾日當午, 汗滴禾下土。 誰知盤中餐, 粒粒皆辛苦」も度々引用されました。こうした中、2012年の記事では、3月22日の“豊かになったから捨てるのか”(武衛政)、6月21日の“皿の料理は食べつくそう”(馮華)が目を引きました。民間の冠婚葬祭の大盤振る舞い振りも詳しく紹介されました。(8月22日“晒晒民间的铺张浪费①”)
こうした流れの中、11月に誕生した習近平政権は、党・政府の腐敗と官民格差、それに対する民衆の反発を重視、2013年春節前から強力な整風運動を開始しました。それは次回に。

三瀦先生のコラム