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 第583回 中国映画の今後と海外戦略−その2−

(2013年08月19日)

2012年下半期、国産映画で営業成績ベストテン入りしたのは、3Dを駆使し、端境期に登場させるという戦略で成功した<画皮2>だけという状態が続きましたが、12月12日に<人再囧途之泰囧>が封切されるや、初日の売り上げは<一九四二>や<王的盛宴>を上回る3900万元を記録、5日間で5億元を突破しました。<画皮2><人再囧途之泰囧>はいずれも<画皮1><人在囧途>を受けたシリーズ物の強みを発揮しています。続けて12月20日に封切された<十二生肖>は初日の売り上げが4350万元と<人再囧途之泰囧>を上回り、関係者を驚喜させました。そこに割って入ったのが2013年1月8日に封切された<一代宗师>で、上海や澳門などを舞台に取り入れた<007スカイフォール>と渡り合い、続いて<101次求婚><北京遇上西雅图>など “大作”の範疇には入らない作品も気を吐きました。
こうしてみると、中国映画界は近年、激しい浮き沈みを体験しています。2010年第一四半期は<アバダー>の煽りで国産映画の国内シェアが40%に落ち込みましたが、2011年には67.25%に盛り返しました。しかし、2012年第一四半期、また洋画の攻勢に遭い44.4%に低迷、ところが2013年第一四半期には<007スカイフォール>などを相手に68.9%を占め、興行収入も50億元の大台を突破しました。この原動力は何処にあるのでしょうか。
2012年、中国は都市化率が53%に達し、県レベルの都市では映画館数が1000軒(普及率35%)、スクリーン数も3000を超え、観客数は全国で5億人に達しました。こうした中、地方都市の多くの新しい映画ファンに受けたのが上記のような映画だったのです。その一方で<人再囧途之泰囧>はアメリカでは全く不評、原因としては、文化の違いと外国での配給ネットの未構築が挙げられています。国内の巨大なニーズに応えながらも、中国の文化や中国人の心情を深く追求するような映画を作り、配給ルートを確保しなければ、単なる娯楽映画だけでは、そのうち目が肥えてくる国内の観客にも飽きられてしまうでしょう。
そこで今、精力的に進められているのが、共同制作の推進と映画館の買収です。2012年5月に大連万達がアメリカ第2位の映画館チェーン、AMCエンターテインメントを28億ドルで買収、博納影業は20世紀フォックスやユニバーサル・ピクチャーと共同制作に取り組み始めましたが、こういった動きは今後急速に広まるものと予想されます。

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