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 第589回 牙をむく環境汚染−その2:水

(2013年09月30日)

2013年も水の汚染事故が次々と発生しています。山西省長治市では、2012年の大晦日に天脊石炭化学工業から8.7トンのアニリンが流出、下流の河北省や河南省にも影響しました。河北省滄県でも、井戸水が10年来赤く、住民の訴えにも県の環境保護局局長は「小豆を煮たらごはんも赤くなる」などと無視、調査で飲用基準の70倍ものアニリンが発見されました。山東省濰坊市では「多くの化学工場・アルコール工場・製紙工場が汚水を高圧の井戸で地下1000m余りの水脈に流し込んでいる」とネットユーザーが指摘、事実は未確認ですが、地表近い地下水の汚染が確認されました。山東省は郷鎮の飲用水源101か所の2割以上が不合格。この他、江西省潦河、山西省張西化河村・湖南省平江県、雲南省昆明市、寧夏回族自治区永寧県、四川省叙永県など書ききれないほど多くの水汚染事故が報道されています。 
同じ汚染でも、浙江省嘉江市では1万頭近いブタの死骸が、四川省彭山県でも千匹ものアヒルの死骸が漂着しました。こうした状況に各地方政府も必死に取り組み始め、例えば北京市は、重点汚染源企業への監視を強め、主要汚染物自主観測データをネット上で公開させることにし、工業排水排出基準も強化、更に、上流の排出汚染は下流に対し補償をする規則を作りました。河の汚染については省境を超えた連携が始まり、全国初のケース、安徽省と浙江省に跨る新安江の試みは1年が過ぎ、広東・広西両省区も<河川水汚染共同対策枠組合意書>に調印しました。地下水の汚染も深刻。2011年の調査では全国200都市の55%でやや劣悪から極度に劣悪、天津市・石家庄市・唐山市の地下水は、水銀・クロム・カドミウム・鉛などでひどく汚染されています。国務院は今春<華北平原地下水汚染防止活動プラン>を出し、「2015年には一応の観測網を整備する」と宣言しました。環境保護部<化学品環境リスク防止『十二五』計画>によれば、2011年の突発事故の46%が化学物質関係。こうした汚染の除去は巨額の費用を必要とし、湖南省湘江では重金属の除去に4000億元が必要とも。 
世界の廃棄電子製品の70%が中国へ。そして東シナ海には37本の河川から2012年に1221万トンの汚染物が流入、劣悪水質面積(四類と劣四類)は60%を超え、全国では72本の河川から1705万トンが海に流入、劣四類の海面は前年より2.4万㎢増えて6.6万㎢に達し、海岸沿いや河口・港湾の観測地点の81%の海洋生態系が危機に瀕しています。

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