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 第五十九回  農村医療の問題点

  "因病致貧、因病返貧"。改革開放の進展で家庭生産請け負い制度が普及し、従来の経済基盤に則った衛生医療サ−ビスシステムが崩壊した中国の農村では、病気や怪我に 見舞われても十分な医療が無くお金も無いため、治すに治せず、仕事ができずに貧困に陥ったり、貧困脱出家庭がまた貧乏に戻ってしまう例があとを絶ちません。
雲南省のある民族自治県では157の村の70%以上に医療用建物が無く、貧困に逆戻りする率が40%にも達するそうです。そこではびこるのがいんちき医者。無許可の "流しの医者"の横行ぶりは目に余るものがあります。
 このような医療の貧困は、出産時の事故や遺伝病による障害児の出産率の異常な高さとなっても表れています。衛生部のデ−タによれば、中国は世界でも有数の障害児 高率出産国で、山西省ではその率が189.96/万に達しています。
 2001年9月、国務院は<農村の衛生改革と発展に関する指導意見>を通達、2002年10月には<中共中央国務院の農村衛生工作をより一層強化することに関する 決定>が発表されました。また、遡る6月には衛生部などが共同で<中国農村初級衛生 保険発展綱要>(2001-2010年)を発表して妊産婦と嬰児の死亡率を10年間でそれぞ れ4分の一と5分の一に減らす目標を掲げました。漸く本格的な取り組みが始まった と言えましょう。
 浙江省嘉興市では、国と集団と個人の拠出により「一人が病気になったら千人が助ける」という助け合い保険が復活しました。内モンゴル自治区杭錦旗郷鎮衛生医院も、国と集団と個人の出資による株式協力制を実行し、設備や医者の資質の向上を図りました。
湖北省友宜城市は農村衛生院の一般医療部門を競売にかけて経営権を外部に委ねた結果、ある衛生院では151人いた従業員が31人に減り、設備は14万元かけて一新され、医者の給料が清掃係の給料より高くなり、その一方で、薬代は以前より安くなったということです。
 農村の医療機器を[聴診器、血圧計、体温計]といった旧三種の神器から[X線、超音 波診断、心電図]の新三種の神器へ、更にはより高度なハイテク機器とグレ−ドアップ させていくことも、経済発展のもう一つの大事なバロメ−タ−と言えましょう。

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