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 第590回 牙をむく環境汚染−その3:大気汚染

(2013年10月07日)

国慶節は秋晴れが売り物なのですが、このところ入って来るニュースはまたも深刻なスモッグ、北京では外出を控えるようとの呼びかけが。2011年にはすでにPM2.5につながる自動車の排気ガスが4607万トンに達していましたが、自動車販売量は2012年も3年連続して世界一、それにつれ排気ガスの量も増加の一途を辿っているのです。
2013年1月11日、北京・天津・石家庄・武漢・成都など全国主要都市が深刻なスモッグに見舞われ、天津では17か所の観測地点の内16か所が最悪の重度汚染に。13日も全国33観測都市が重度の汚染になり、北京ではPM2.5が786㎎/㎥、石家庄は960㎎/㎥にも達しました。同月、北京でスモッグが無かったのは5日間だけ、1月中にスモッグに見舞われた面積は全国で143万㎢、100万㎢に達した日は12日間を数え、その後、3月も過去52年で最多の日数を記録、第一四半期では74都市で基準を超えた日が55.6%と過半数に達しました。 
主要原因は煤煙と自動車の排気ガスですが、排ガス中の顆粒物排出量は自動車保有総量のわずか17%にすぎないディーゼルエンジン車が99%以上を占めています。原因はこれまで基準とされていた国Ⅲ(ディーゼルオイルでは硫黄成分350PPM以下)の供給量が抑えられていて、質の悪い国Ⅰ(同硫黄成分2000PPM以下)を多用せざるを得なかったからだ、と指摘する向きも。政府は2月に自動車燃料の品質基準を段階的に引き上げる新しいタイムテーブルを発表、ディーゼルオイル国Ⅳ(同硫黄成分50PPM以下、過渡期2014年末まで)を発布し、欧州のユーロⅤ相当のディーゼルオイル国Ⅴ(同硫黄成分10PPM以下)も2018年から正式に導入することにしました。 
個別の原因による大気汚染も深刻です。江蘇省蘇州市では火力発電所の煤塵が、陝西省柞水県のある村では鉱業企業の排ガスが、寧夏回族自治区の銀川市では製薬企業の悪臭が問題にされていますし、大気汚染を予測して、広東省深圳市では団地から18mの距離に建設中のLCD工場建設に、河北省秦皇島市では環境アセスメントを捏造したごみ焼却場に猛反対が起こっています。ゴミ処理場については、2012年に全国122か所を調査したところ、排出データを公表したのは3割にも達しませんでした。更に、個別の原因では、藁の焼却、爆竹の煙害、炭火焼のシシカバブもやり玉に挙がっています。

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