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 第594回 物流に関する話題−その2

(2013年11月05日)

2015年には3兆元と予測されるネット通販業界の急速な発展は否応なしに物流インフラの整備を促します。2013年1月、中国最大手のアリババは、1000億元を投じ、順豊速運など宅配業界と協力して、中国何処でも24時間内に配達できる物流網を10年以内に整備する計画を発表しました。家電量販店最大手の蘇寧雲商グループは同年2月、2015年を目安に全国60か所に配送拠点を設置すると発表しました。全国で1700店舗を擁し、ネット上でも蘇寧易購を経営する同社の生き残り戦略の柱とも言えましょう。IT・精密機器物流サービスでビジネスの拡大を図る日本企業もあります。ヤマトホールディングスは培った輸送技術を武器に中国全土を結ぶ輸送網を構築し、関連企業の需要を取り込む計画を進めていますが、こういった産業別物流網の整備も重要なアイテムとして注目されています。
中国では今、経済発展に比し脆弱な物流の整備が各方面から進められています。例えば鉄道輸送では、2013年6月、中国鉄路総公司が大幅な貨物輸送組織改革を発表、顧客へ最大限の便宜を図るべく、ネットを使うなどの手続きの簡素化、受付ルートの拡大、顧客のニーズに応じた輸送計画、費用徴収の明朗化、ドアツードアのサービスなどを盛り込み、更にハルビン鉄路局では貨物車の共同使用も始まり、1カ月後、全国鉄道貨物輸送量は減少から増加に転じ始めました。同6月、交通運輸部は、2020年までに道路・鉄道・水路・航空が一体となった交通運輸現代物流サービスシステムを完成させると表明しました。これに先立つ3月には、空港を中心とした物流体制整備の全国初のプランとして、河南省の<鄭州空港経済総合実験区発展プラン>がすでに国務院によって正式に承認されています。
都市の物流管理については2013年2月に交通運輸部が<都市配送管理工作の強化と改善に関する意見>を出し、5年程で配送時の交通難や駐車難をほぼ解消する方針を打ち出しました。一方、農村では物流システムの未整備が農産物と市場との接続不良を多発させ、増産が増収につながらない弊害が日常茶飯事で、これを解消するための物流貯蔵・配送センターの建設や人員の養成、物流企業の育成が叫ばれ、例えば河北省高碑店では、既に農産物物流パークの建設が始まっています。ただ、その一方で、道路や橋の通行料の弊害は是正が遅々として進まず、相変わらず輸送コストの3分の1を占め、企業の重荷になっています。

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