企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

 第619回 職業教育の発展状況

(2014年05月12日)

今、中国政府は職業教育の充実・向上に力を入れています。先進国仕様の産業構造への転換には質の高い、技能に優れた人材が必要ですし、農村の余剰人口の都市化にも職業訓練が欠かせません。教育部は第12次5ケ年計画スタート時に<2011-2015年職業学校教師素質向上計画>を立ち上げ、45万人余りの職業学校教員に訓練を施す目標を設定しました。また、職業学校には兼任教員ポストを設けて、教員構成の充実も図っています。
企業内の既存の技能労働者の技能向上も喫緊の課題になっています。2012年には<企業技能人材層建設強化に関する意見>が出され、あらゆる企業の技能労働者に年一回の職業訓練受講を義務付け、各地方政府にはそのための補助金支給を求めました。熟練者を師とした徒弟制度の確立も模索され、また、こういった活動を盛り上げるため、国内技能コンテストの開催も呼び掛けられました。
これと同時に、労働実績を中心に、職業モラルや職業知識などを重視した技能人材評価制度の確立も急務になっています。計画には、技能労働者個人による知財権の取得とその保護も謳われていますが、上述の技能コンテスト受賞者をどう遇するかを含め、正当な評価によって優秀な技能労働者を抜擢、保護するシステムの確立は大きなインセンティブになります。
受講者側への対策も始まりました。2012年秋からは中等職業教育の学費免除範囲が全ての農村や都市部の農業関係、貧困家庭の生徒に拡大され、9つの一級行政区では中等職業教育全員無料が実現しました。中等職業教育の卒業生は近年常に95%以上の就職率を誇り、大学本科生や高等職業学校を大きく上回っていますが、一方で、自分の子供に中等職業教育を受けさせたい、と願う親は少なく、中等職業教育の生徒の82%は農村出身者(2012年)で、中西部地区からが70%近くを占め、「成績の悪い子が行くところ」と見る社会の評価と就職実績にはまだ大きなギャップがあります。中国では依然、「専門技術より社会的地位」と言った風潮が根強く、これを是正するのは容易ではありません。その意味からも、職業教育の内容を向上させ、卒業生の評価を高めることが大事になっています。
2013年5月22日から6月28日にかけ、全国各地の会場で、14部門100種目にわたる全国職業学校技能コンテストが開催されました。「世界一流の労働者群を育成しよう!」と。

三瀦先生のコラム