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 第六十二回  中国とアセアン

 2001年10月、バンコクで、中国も加えたアセアン-メコン川流域開発大臣級協議が行われ、東南アジアを貫く南北の経済大動脈、汎アジア鉄道(昆明-シンガポ−ル)の建設とメコン川流域諸国共同使用の国境貿易倉庫の建設が承認されました。 同年11月、ブルネイで開催された第5回アセアン及び日本、中国、韓国首脳会談 (10+3)で、中国の朱鎔基首相は、東南アジア友好協力条約への積極的参加を表明、 また、東南アジア非核地区条約の締結、中国−アセアン自由貿易地域の設立を呼びかけ、更に、具体的提案として、メコン川総合開発に500万ドルの資金を提供すること、昆明−バンコク間鉄道建設のラオス領内部分の3分の1を引き受けることを表明しました。
1991年以来、アセアン諸国との信頼醸成に努めてきた中国は、1997年、クア ラルンプ−ルでの共同声明で21世紀へ向けたパ−トナ−シップを謳い、以後、具体的な協力の道を探っていました。その主要目標の1つが自由貿易地域の設立です。現 在、中国とアセアンの貿易額はそれぞれの貿易額の1割にも達しません。実現すれば 17億の人口と2兆ドルあまりの経済規模を擁する巨大自由貿易地域は、双方に大きな発展の契機をもたらすでしょう。特に中国にとっては、西部大開発の成否にも関わる大問題なのです。
雲南、四川、広西などの西南地区とアセアン諸国との貿易は日増しに盛んになっていますが、上述の2鉄道やメコン川の航路、更には南寧からハノイへ至る高速道路など、 "西南新シルクロ−ド"と呼ばれる交通インフラ群が完成すれば、西南地区の様々な資源や生産品にとって広大な供給先が出現し、その経済効果は計り知れないでしょう。 中国側は、これらの交通インフラをユ−ラシアンランドブリッジと接続させ、ユ−ラ シア大陸の総合的な発展の一環に位置づけようとしているのです。
2002年11月の第6回"10+3"会議では、中国とアセアンの間で、南沙群島領有権問 題の平和的解決を謳った<南海各方行為宣言>、自由貿易地域に関する<経済協力枠組み協定>、メコン川総合開発に関する運輸、電力協定などが調印され、更に農業協 力に関する覚書も取り交わされました。これら一連の成果は、両者の関係が実質的な 協力関係に踏み込んだことを如実に示していると言えましょう。

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