企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

 第629回 待ったなしの老人対策−その1−

(2014年07月22日)

“失能(寝たきり)老人”“高龄(80歳以上)老人”“空巢(子供に巣立たれた)老人”“ 贫困老人”。60歳以上の老人が2013年に2億人を突破、2034年には3億人、2054年には4.72億人にも達すると試算される中国。中国初の<中国老齢事業発展報告(2013)>によれば、 2013年で老齢者は人口の14.8%を占め、“失能老人”は3750万人(2050年には1億とも)、慢性病老人患者は既に1億人の大台を突破、“高龄老人”は2300万人、“空巢老人”も1億人を超えています。その中には子供に先立たれた老人も100万所帯にのぼっており、また、“ 贫困老人”も2000万人を超えています。農村では“留守”を守る老人が5000万人に上りますが、その30%以上が行政や社会から見放されたまま。行政府がいくら大量の資金を投じて公立老人ホームを建設しても、入居できるのは経済的に豊かな健康な老人ばかりでは何の解決にもなりません。
老人に関する最大の問題が年金問題。中国では2012年末で基本養老保険が7.88億人をカバー、更に2020年までに2億人が参加し、カバー率は95%に達すると予測されていますが、中国の年金システムは従来、都市と農村に分かれ、最近は、都会人も政府系と企業系に、農民も都市流入者と農村住民に分かれ、4システムが併存する形になり、その間の格差が大きな問題になっていました。そこで、2014年2月、国務院は<統一された都市・農村住民基本養老保険制度確立に関する国務院の意見>を発表、2015年には新型農村社会養老保険と都市住民社会養老保険を統一する方針を打ち出しました。その後、更に従業員基本養老制度などともドッキングさせ、2020年までには公平で統一され、かつ規範的な都市・農村住民基本養老保険制度を完成させる計画です。<意見>によると、制度は引き続き個人と所属組織と政府の三位一体で維持され、個人は毎年12ランク(100元〜2000元)から保険料を選び、その額に応じて保証されます。ただ、従業員基本養老制度は各地域がそれぞれに運営していて、省レベルで統一された地域は現時点で一級行政区の内7ヶ所に過ぎません。
年金制度はその額も問題。現在、企業退職者年金は月額2000元で年額24000元、農村の最低生活保障が年額2200元、貧困補助の基準は年間2300元以下。これに対し、都市・農村住民養老金はここ4年据え置きで月額81元、年間972元に過ぎず、不満の声が上がっています。

三瀦先生のコラム