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 第632回 スマホ業界の角逐−その1−

(2014年08月18日)

通信技術は日進月歩。中国でも、2013年12月4日、三大キャリア、中国移動、中国電信、中国聯通にTD−LTE式4Gの免許が公布されましたが、同月26日には、バーチャルキャリア業務がアリババ・京東、天音・楽語など11の民間企業に開放されました。こういった企業は、例えば楽語が医療健康に関するクラウドサービスに照準を絞るなど、様々な特化したサービスコンテンツを開拓していくでしょう。今回の措置は、2012年に政府が打ち出した民間資本導入八大領域の一つにモバイル通信によるバーチャルキャリアが組み込まれたことに基づくもので、三大キャリアは今後、上述の民間企業などとどう提携していくか、が重要な戦略になります。
スマホ用の様々なソフトでは競争が激化しています。対話アプリの「微信」登録者が6億人と日本のLINEをも上回り、利用者数でも4億人とアメリカのワッツアップの5億人に次ぎ世界第2位となった中国のテンセントは、2013年の売上高が604億元(約1兆円)にまで急伸。勿論、その裏には情報統制を強める中国政府が国内でフェイスブックなどの通常回線での利用を禁止したという特殊事情もありますが、アジアへの進出を図るテンセントを日本のLINEや韓国のカカオトークが迎え撃る形に。
中国国内でも、ネット通販が得意分野のアリババ、SNSとゲームソフトを特長とするテンセント、検索大手のバイドウが互いの領域に攻め込んで三つどもえの争いを呈しています。  
例えば、テンセントはネット通販で攻勢に出、物流施設運営業の華南城ホールディングスに9.9%を出資、また同分野2位の京東商城にも15%出資して体制を整えつつあります。京東グループは今まさにネット通販でアリババを追撃中で、同グループもこの提携を通して6億人の微信登録者を取り込むことができます。京東は既に自前で23-45才の年齢層に集中する1億4000万人のユーザーを抱え、更に全国476都市に28000人の専従者を擁する自前の物流サービス網も展開し、独自スマホ「JDフォン」(機器本体は中興、華為)の販売も開始しており、テンセントとの提携は業界全体に対する大きなインパクトとなりました。テンセントは検索分野でもソーフーの子会社に36.5%を出資しています。こういった動きに対し、アリババもスマホ向けチャットアプリに参入し、2013年には「来往」を開設しています。

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