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 第647回 中国の先物市場

(2014年12月01日)

中国の先物市場が急速に整備されています。10年前の2004年、国務院は<資本市場の改革開放と安定的発展に関する若干の意見(“国九条”)>を発布、同年5月には<世界金属市場と中国的要素>をテーマに、上海先物取引所主宰による第一回上海金融派生商品市場フォーラムを開催しました。上海先物取引所では同年の燃料オイルを皮切りにその後2013年に至るまで、非鉄金属・貴金属などを中心に、エネルギー・化学工業分野など10種ほどの先物が上場、価格指数を公開し、取引金額も8.43兆元から89.20兆元へ拡大しました。中国全体で見ても、31種類の商品と金融先物1種が上場され、経済の主要な領域にほぼ関わり、金額も171.13兆元に達しました。
この勢いはここ2年ほどさらに加速しています。2012年には白銀・ガラス・菜種・菜種粕といった商品が上場、株価指数先物市場も登場3年目の2012年に1日の成約高が2431億元と世界第5位に躍進しました。2013年には、3月にコークスが、8月に鉄鋼石がそれぞれ大連で上場、9月には動力炭が鄭州で、10月には石油ピッチ(世界初)とホットロールドコイルが上海で上場しました。上海では同年、黄金・白銀の夜間立会が始まり、2014年には白銀の成約高が世界一になり、銅など非鉄金属も13年12月に夜間立会を開始しています。 
現在注目されているのが原油の先物で、2014年11月22日、上海自由貿易試験区に上海国際エネルギー資源取引センターが発足、原油先物市場形成へ向けた重要な一歩を踏み出しました。近い将来国際的な原油価格決定のイニシアチブを握ろう、という意図があることは間違いありません。また、金融先物も、上海,深圳両取引所の300株価指数先物に次ぐ第2弾として、2013年7月に中国証券監督管理委員会が国債先物を中国金融先物取引所に認可、同年9月6日に上場しました。中国の国債規模は既に2012年末に世界第6位、GDPの14.3%に達しており、まずは5年物、投資者は50万元以上という条件でスタートしました。
先物市場が急速に発展する一方、いまだ先物法は制定されておらず、市場の法治は焦眉の急。2014年、国務院は<資本市場の健全な発展一層促進することに関する若干の意見>を発し、早急に法整備を進めるとともに、先物価格に税価格を含むなど国際的な慣例に適合しない障碍を取り除くことを含め、国際化へ向けた様々な段取りにも力を入れています。

三瀦先生のコラム