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 第654回 知財権に関わる新しい動き

(2015年01月26日)

2012年、世界知的所有権機関(WIPO)は、同年の中国国民の特許申請数が56.1万件に達し、世界一に躍り出た、と発表しました。ちなみに2位は日本、3位はアメリカ。4種の工業所有権別でみると、特許権を除く実用新案権・意匠権・商標権が首位で、特許権が相対的に弱点となっていました。しかし、2013年になると、特許権は26.3%増加して82.5万件に達し、人口1万人当たりの有効特許件数も、2012年の3.23件から4.02件と急増、2015年目標を繰り上げ達成しました。2013年2月の<企業の技術革新における主体的地位を強化し、全面的に企業の革新能力をアップさせることに関する国務院弁公庁の意見>で「2015年には、企業が主体、市場がリード、産学が協同した技術革新システムの確立」が謳われましたが、まさにその線に沿ったものと言えましょう。地域別では、2014年4月末に全国首位の広東省で有効特許件数が10万件を突破、また、2014年上半期に特許協力条約(PCT)を通して国家知財局が受理した国際特許申請は11243件(前年同期比20.5%増加)、そのうち91.5%が国内からで、申請者別では、“華為”“中興”“京東方科技”が上位三位を占めました。
こうした動きの中、2013年は関連法整備ラッシュで、1月に<著作権法実施条例><情報ネットワーク伝播権>、3月に<コンピュータソフトウエア保護条例>、8月に<商標法>が改訂されました。また、その3月に最高人民法院は、既に国内5か所の高級法院、59ヶ所の中級法院、69ヶ所の基層法院で試みられている、知財権法廷で三合一”(民事・行政・刑事審判)により集中的に審理する方式を、より公正かつ有効に進める方針を打ち出しました。 
政府は知財権強国建設をスローガンに様々な政策を打ち出し、2014年4月、全国的に知財権宣伝週間を展開、北京市中関村には、官民から3億元を集めて、国内ハイテク企業の効率のよい核心技術特許取得を支援する特許運営基金が初めて設立されました。6月には行政区を跨いだ広域知財権裁判所を設立して専門化・統一化を進める方針が打ち出され、まず、上海で設立の動きが進んでいます。7月にはWIPO中国事務所が北京に設けられるとともに、著作権関係では、青島に国レベルの国際版権取引センターの設立も認可されています。司法都市でも知財権の重要性が認識されつつあり、2013年下半期には全国40の都市が次々と国家知財権実験都市に指定され、関連対策の整備を進めています。

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