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 第666回 中国とモンゴル

(2015年04月20日)

中国・モンゴル国境、中国側の二連と向かい合うモンゴル側の窓口がザミンウード。国境から4.5キロのこの都市は、中蒙鉄道がモンゴル国内に入った最初の駅でもあります。2010年にモンゴル政府が打ち出した自動車道路整備計画に則り、中国企業が同市から省都に通じる124キロの幹線道路を整備、物流が大幅に発展しました。両国の国境には交易窓口が12ヶ所ありますが、2004年に経済自由貿易経済区に指定されたザミンウードはその中心的な役割を果たし、国の全輸入量の90%、税収の30%を占めています。
2013年10月、中国を訪問したエルベグドルジ大統領は<中華人民共和国とモンゴル国の戦略的パートナーシップ中長期発展綱要>に調印、2011年に締結した戦略的パートナーシップの強化と深化へステップを踏み込みました。同綱要はその半分を、投資、鉱物資源開発加工、電力(原子力を含む)の整備、交通運輸(鉄道整備)、金融・貿易協力、技術援助、経済・貿易といった具体的な内容が占めました。
モンゴル政府は2012年に<外国投資戦略領域協調法>を制定、鉱物資源の採掘、銀行と金融業、メディアと通信事業の三分野を国有化して外国からの投資が前年比45.68%減と急減、外貨準備高も52%減となり、翌年4月に同法を撤廃する羽目に追い込まれました。この急場を救えるのは中国。本来、モンゴルは中国に対し警戒心が強く、鉄道の直通も躊躇し、バランス外交にも腐心してきました。国民も、中国企業の鉱山採掘などに不満が多かったのですが、2014年のモンゴル民間調査機関の世論調査では、8割が中国を自己中心的と捉える一方、最適なパートナーだ、との意見が日本を追い越しました。
2014年8月、習近平国家主席がモンゴルを訪問、<中華人民共和国とモンゴル国の全面的戦略的パートナーシップ設立と発展に関する共同宣言>を発表、巨額の借款供与と共に26件の協力文書に調印しました。2020年には双方の貿易額を100億元にし、資源開発・インフラ建設・金融協力の三位一体の推進も謳われました。一方、中国は中露蒙三カ国の協力をシルクロード経済圏やユーラシアンランドブリッジと絡めて提起し、9月にはタジキスタンで三カ国首脳会談も挙行されましたが、習近平モンゴル訪問2週間後にはプーチン大統領がモンゴルを訪問して合意文書を交わしていて、中露両国の綱引きも始まっています。

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