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 第六十八回  保険業の新展開-その3-

 ここ数年、政府は医療保険の整備に特に力を入れています。2000年には医療保険に関する基本的な政策、システム、医療体制などが整えられ、全国284都市が 実施段階に突入、4300万人が網羅されました。翌2001年には地方都市レベル の97%が医療保険制度の改革を行い、7630万人がその対象に組み入れられました。
 ただ、企業の種類や地域によってはまだまだ大きな開きがあります。2003年1 月に出された数字では、医療保険に加入した企業は、東部地区70.3%に対し中部地区 は55.6%、大型企業では73.5%に対し小型企業では56.2%、外資系(香港,マカオ、台 湾系を含む)73.2%国有企業68.4%に対し私営企業は49.6%となっています。
 ここで、2001年4月に施行された<北京市基本医療保険規定>を見てみましょう。これは個人負担と医療保険を組み合わせたもので、労働者の平均給与額の約10%〜約4倍 (2001年では1300元〜5万元)を範囲に次のように設定されています。 治療費1万元以内−85%を保険が負担/3万元まで−90%/4万元以上−97% また、高額治療については<高額医療互助資金>を、国家公務員については更に医療補助を、最低生活保障対象者については支給範囲の最低ラインを1300元から650元に引き下げる、などの措置が講じられました。
 このような社会医療保障制度の整備を補う形で商業医療保険が急速に発展してお り、商業医療保険収入は、2001年には130億元を突破、生命保険の伸び率をはるか に上回っています。既に<住院安心><世紀泰康>など200種以上の商品があり、 そのうち、中国人寿保険社の<生命緑陰>は581種類の疾病をカバ−し、3歳の児 童から60歳の老人に至るまで加入することができます。ただ一方で病気を隠しての加入や、加入者のすり替え、医者とグルになった偽の診断書があとを絶たず、それが 保険会社の保障範囲の縮小や、信用度の高い都市部偏重の商売につながり、加入したくてもできない農民の不満を生んでもいます。
 なお、中国でも医療事故に関する訴訟が増えていて、中国太平洋財産保険社が最近、<医療機関業務責任保険>を始め、医療機関向け保険として注目されています。

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