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 第686回 生産安全対策—その2—

(2015年09月14日)

2014年12月1日、新<安全生産法>が正式に施行され、「人を第一に、安全な発展を」という理念を掲げましたが、それと平行して、2014年に取り組んだいくつかの重要な方針・施策が報じられました。その基本方針の一つが<党政同责、一岗双责、齐抓共管>という安全生産責任体制で、行政側にも安全監督管理責任体制の構築、関連法規の整備と実施、取り締まりの強化などを求めています。<一岗双责>とは、指導的ポストにある者は安全監督管理責任も負わなければならない、というもので、これに基づき、32の一級行政区が関連規定の制定とチェックシステムの整備を進めています。また、各行政レベルを全面的にカバーすべく、2014年の三級(省 市 県)五覆蓋(以下の5点のカバー:①党政同責、②一崗双責、③各政府の指導者による安全委員会主任兼務、④党委員会組織部門への当該地域安全生産活動状況報告、⑤「三つの必須」-産業・生産・業務の安全)から2015年には五級(省 市 県 郷 村)五覆蓋に範囲を広げ、更には企業にまでその対象を広げました。
“六打六治”という取り締まりも展開されています。“六”とは、事故が多発しやすい6分野で、「①鉱山の無許可・違法採掘/②危険化学物資の違法な取り扱い/③バスや船の無謀運転や違法営業/④石油・ガスパイプライン損傷行為/⑤生産・貯蔵・生活が混在する空間」を指します。今回の天津の事故などはまさにこの②や⑤に相当するもので、それぞれの対象に対しては“トンネル工事安全9条”などといったような対象別の具体的規定も整備されていたのですが…。このほか、過去5年間の事件発生データに基づき、2853県から182の安全生産重点県(危険化学薬品関係60県、炭坑関係50県、非炭坑関係50県、花火爆竹関係22県)を選び、取り締まりを強化しました。2015年1月26日の全国安全生産工作会議では、上記の施策をさらに徹底すべく、“微博”“微信”なども動員した宣伝活動を展開しつつ、更に整頓と閉鎖という厳しい予防措置も打ち出されました。整頓とは、2015年末までに炭坑を1万か所以内に抑制すること、花火や爆竹の生産をより多くの省区から退出させることで、閉鎖とは、炭坑以外の鉱山をさらに5000ヶ所閉鎖することと重点県への指導強化です。
これらの取り組みがあったにもかかわらず、重大事故が多発したのは、これらの取り締まりがまだ不徹底で、効果が不十分であることを証明していると言えましょう。

三瀦先生のコラム