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 第689回 産業用ロボットの導入

(2015年10月05日)

2015年4月17日付人民日報に賀林平広東分社記者の“机器换人得等苹果熟了”という記事が載りました。珠江デルタで機械が労働者の代わりになり始めたのは、労働者不足がきっかけ。売り手市場になり、あの手この手で奨励金を出さなければ人数を確保できなくなりました。しかし、内地の都市化が進み、地元就職が可能になると、出稼ぎ労働者は減少し始め、更に若い世代の単純労働離れも拍車をかけ、不足を補うには機械化しかなくなってきたのです。
記事によれば、広東省で機械化が最も進んでいる東莞市では、既に6割の企業が転換を進め、太朗鎮の毛織産業は2007年以来4万台余りのデジタル制御織機を導入、20万人余りの労働者の削減に成功、浙江省も2013年5月に「5年間で毎年5000のプロジェクトを実施、5000億元を投じ機械化を進める」という “555”推進計画を打ち出しました。これにより、2014年には簡単な操作を主とするオペレーター関係労働者61万人の削減を達成、工業増加値1万元当たりの労働者数が8.6%下降しました。この傾向は既に中西部へも広がり始めています。
こうした情勢に呼応し、2013年にはロボットの増加数が3.7万台と世界一を記録、続く2014年は5.6万台に達しました。しかもそのうち1万台余りが国産で、中国は世界最大の生産国に躍り出ました。このままいけば、2017年には使用数が42.8万台に達するとの推計もあります。なぜなら、中国の労働者1万人当たりのロボット使用数は30台で、その密度で比べれば、アメリカは5倍、ドイツは10倍で、まだまだ発展スペースには事欠かないからです。
「中国は人口大国で、就職難とも聞いているが、機械化を進めたら就職はどうするのか」とよく聞かれますが、「100万台のロボットは300万の就業機会を創造する」とも言われ、実際、ロボットへの投資を増やした国は雇用が増加しているとの情報もあります。「ロボットを使うことで人件費の増大による製品価格の上昇を抑え、輸出競争力を確保できる」「製品の品質を高度に保つことが出来る」と利点も多いのですが、安い労働力が豊富な中西部での急速な導入には異論も。すでに2014年時点で全国に30のロボット工業パークが姿を見せつつあり、ロボット企業数も500社を突破、2020年には800億ドルの投資が見込まれ、更に2025年には数兆ドルの大市場が出現すると言われていますが、ロボットの核心装置はまだほとんど海外に頼っており、この点の改善とロボットの応用率の向上が課題になっています。

三瀦先生のコラム