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 第730回 2015年日中関係総括—下半期(2)

(2016年8月1日)

2015年10〜12月の人民日報の抗日戦争絡みの記事は、10月が8篇、11月が2篇と激減しました。12月も南京虐殺の記念日絡みの7篇を数えるのみでした。一方、政治レベルでは高官レベル協議が相次ぎ、10月には楊潔篪国務委員が来日して安倍首相と会談、日中韓首脳会談への地ならしを行いました。11月1日、ソウルで開催された第六回日中韓首脳会談では、安倍首相と李克強首相の会談が実現、関係記事は15篇以上に上り、大々的にその内容が報じられ、日中の関係改善への意欲が強くにじみ出たものとなりました。
日本に関する様々な記事が掲載され、その量的バランスが以前の正常な時期に近づいたのも、この3ヶ月の特徴でしょう。アベノミクスを危ぶむ記事も多少ありましたが、民間交流を紹介する記事も10篇を越え、政府首脳の行事への参加記事も3篇ありました。10/26付けでは、<民間交流は中日友好を助ける>、<協力を維持するには理解と寛容が不可欠>といった記事も掲載されました。なお、11/30に逝去した囲碁の名人、呉清源への追悼を特集した12/2付けの記事は一読に値します。
良いところは日本に学ぼう、日本の良いところは紹介しよう、という、日本のメディアが学ぶべきジャーナリストスピリッチは健在です。
悲惨なエスカレーター事故に関しては、日本をはじめとした諸外国に学ぼうという記事が特集されましたが、都市鉱山(廃品回収による希少鉱物の再生)については、日本とドイツの取り組みが、都市建設では、中国が今まさに取り組んでいる都市の地下共同溝や水の汚染に関する日本の先進的取り組みが紹介されました。その他、社会現象としては、農村の消失を阻止しようという動き、痴ほう症の老人に関するGPSの活用などが取り上げられ、また、日本の家具設計の、伝統を受け継ぎつつ革新を図るその起業理念にもスポットを当てています。また、トピックとして、日本のランドセルがなぜ訪日中国人に人気なのか、に焦点を当てて、その、人にやさしい、機能化されたデザインに注目しています。
こうした一方で、日本の抱える諸問題を冷静かつ客観的に分析報道した記事も目につきました。核燃料処理問題や福島の復興の遅れはもとより、人口高齢化問題、企業のモラル低下にも焦点を当てています。女性差別、人間関係の希薄化、引きこもりも記事になりました。

三瀦先生のコラム