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 第736回 軍制の改革

(2016年9月13日)

2015年11月以来、軍の改革が本格的に推進されています。軍に対する権力掌握は、同年7月に郭伯雄元党中央軍事委員会第一副主席に関する処分が確定したことで一応決着がつきましたが、軍改革もこれに前後して着実に進められており、2013年の18期三中全会で示された基本方針を踏まえ、2014年における各方面からの意見聴取を経て、2015年5月の<中国の軍事戦略>と題する国防白書で、海洋・宇宙空間・ネット空間を重大安全領域としてクローズアップ、核戦力も国家の主権と安全を守る戦略的基礎として明記しました。7月には、中央軍事委員会常務会議と中央政治局常務会議で<国防及び軍改革の深化に関する全体プランの建議>が、中央軍事委員会常務会議では指導指揮体制改革実施法案も採択されました。
2015年11月24−26日に開催された中央軍事委改革工作会議は軍改革の大号令が発せられた重要会議となりました。この会議で習近平は「今次の改革は2020年を目標に「中国の夢、強力な軍隊構築の夢」を実現するためのもので、軍を30万人削減する一方、軍の最高指導権と指揮権を党中央と中央軍事委に集中させ、指導管理体制と合同作戦指揮体制を一致させ、軍事委—軍種—部隊という指導管理体制、軍事委—軍区—部隊という作戦指揮体制を構築する、と強調しました。同年12月31日、再編新設された人民解放軍陸軍指導機構、ロケット部隊、戦略支援部隊成立大会が挙行され、習近平主席から軍旗が授与されました。
新設の戦略支援部隊とはどんな任務を担うのでしょうか。その転機となったのが2011年5月の、米軍によるビン・ラディン襲撃作戦で、偵察衛星や通信衛星の駆使、ステルス機を使った隠密輸送、空母艦隊による戦略面での支援、そして1万名に上る支援部隊の共同作戦は中国に強い衝撃を与えました。これが、全軍に精密かつ正確な情報を伝え、戦略的支援を保障し、情報の傘をかぶせる戦略支援部隊の発足を促したのです。
翌2016年1月、中央軍事委員会の抜本的機構改革が発表され、従来の4総務部(総参謀部・総政治部・総後勤部・総整備部)が、陸海空軍とロケット部隊を統合指揮する連合参謀部をはじめとする15部門体制に移行しました。これに伴い、4月には北京に統合作戦指揮センターが完成、習近平が自らその「総指揮」に就任しています。また2月には新軍区成立大会も開催され、東部軍区・南部軍区・西部軍区・北部軍区、中部軍区に軍旗が授与されました。

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