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 第739回 不動産業の現状−その1−

(2016年10月3日)

中国の不動産市場がまさに正念場を迎えつつあります。ここ何年か、過剰流動資金は、住宅市場、シャドーバンク、そして株式市場と渡り歩き、今また、住宅市場へと流れ込んで、2016年前半には今一度バブルの様相を呈し始めました。しかし、その内容をつぶさに観察すると、これまでとは違った様々な側面が見えてきます。
住宅市場というのは非常にすそ野の広い分野で、国内経済に与える影響が無視できません。政府が一定の下支えをするのも当然で、GDPの6.5%成長ラインを死守するための主要な措置であり、また、国内消費を高める重要な手立てでもあり、さらに、住宅の供給は農村の余剰労働力の受け皿である都市化を推進する必須アイテムでもあります。したがって、住宅建設と言っても様々な分野とレベルがあり、例えば一つの側面として、政府は2011-2015年の第12次5か年計画中に低所得層向け保障性住宅約3900万戸分の建設に着工、すでに2500万戸ほどが完成しています。そのうち約7割がバラック式住居を改築したもので、2020年にはさらに2000万戸以上の世帯がバラックから脱出できる計画ですが、住宅市場には別の側面もあります。
2015年春以来の住宅市場の特徴が2極分化であることは広く認識されています。すなわち中・高所得層向けマンションの好調な売れ行きと一般向けマンションの不振です。最近、宝能に敵対的買収を仕掛けられて話題になっている業界最大手の万科は中・高所得層向けマンションを展開し、2016年上半期の業績が前年同期比で49%増と好調だったのに対し、同じ業界大手の大連万達集団は経済に安定を欠く地方都市の一般向け住宅の不振が響き、前年同期比17.3%減と振るいませんでした。このことからもわかるように、2極分化は見方を変えれば、大都市と中・小都市との分化であり、中国ではこれらの市を一定の基準に則ってランク分けしています。中国の2級行政区は“地級市”と言いますが、2016年発表の新しいランク付けでは、この“地級市”以上の338市を5ランクに分けています。一線都市は従来の北京・上海・広州・深圳に成都・杭州・武漢・天津・南京・重慶・西安・長沙・青島・瀋陽・大連・厦門・蘇州・寧波・無錫の15都市を加え、以下、二線都市30、三線都市70、四線都市90、五線都市129となっています。人民日報が2015年末に行った調査では、過半数のネットユーザーが「二・三線都市に家を買いたい」と答えていますが、この続きはまた次回に。

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