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 第752回 環境その1:政策の動向(2)

(2017年1月10日)

大気汚染に関しては、周知の如く、すでに2013年6月に大気汚染対策十条措置が国務院常務会議で採択されています。すなわち①汚染排出物の削減、エネルギー高消費の抑制 ②高汚染産業生産力増強の抑制 ③クリーン生産の促進 ④クリーンエネルギー供給によるエネルギーの構造調整 ⑤エネルギー節約及び環境保護関係指標の強化 ⑥エネルギー節約及び排出削減に関する新システムの奨励 ⑦法的手段による産業構造の転換とグレードアップ ⑧地域連携システムによる一級行政区大気汚染対策責任制の確立 ⑨深刻な大気汚染は地方政府の突発事件として緊急管理 ⑩社会が一体化した行動ルールの確立 がそれで、これに伴う初歩的な努力によって、2015年は調査した74都市でPM2.5の濃度が前年比14.1%下降した、とされています。しかし、その後も高濃度の汚染日は度々出現しており、根本的な解決はこれからです。スモッグを引き起こす原因が石炭など化石燃料の消費、自動車の排気ガスなどであることはすでに明らかになっていますが、これを是正するには技術革新も必要で、一朝一夕で克服できることではありません。これを踏まえ、2016年元旦に一層細目に踏み込んだ改定<大気汚染防止法>が施行されたのは当然の措置と言えましょう。
水汚染に関しても、2015年4月国務院が<水汚染対策行動計画>によって、やはり十条の措置を打ち出し、2016年8月には、パブリックコメントを求める改定草案も提示されました。中国の都市汚水処理能力は、2010年の一日当たり1.21億トンが2015年には1.82億トンまで増え、これに並行して再生処理水の応用も進んではいますが、これまた十分には程遠い状況です。
いずれにせよ、汚染防止・自然保護などを含めた様々な環境政策が漸く「生態文明建設」という言葉の下に総括され、2016年スタートの第13次5か年計画に具体的な指標を伴って組み入れられたことは間違いなく、この点はこれまでと一線を画するものでしょう。
その一部を挙げると、第13次5か年計画には、GDP当たりの用水量を23%削減(用水総量6700㎥内)、エネルギー消費量を15%削減(50億トン標準炭相当)、二酸化炭素排出量を18%削減し、また、森林の被覆率は国土の23.04%に、地方市クラスの都市の大気の優良日数を80%以上に、地表水の水質Ⅲ類以上を70%に、といった意欲的な数字が掲げられています。新環境保護法で罰則も一段と強化されましたが、テーマ別の実際の取り組みは次回に。

三瀦先生のコラム