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 第759回 教育現場の問題−その1−

(2017年2月27日)

一人っ子が多い中国では子供の教育も一層過熱気味。テレビドラマ<虎妈猫爸>の中で、子供を良い学校に入れるため9万元/1㎡の“学区房”(その学校の学区内の家)を買った話が与えたインパクトはいまだ拭い去られるどころか、今では46万元/1㎡という話も。大都市に行けばあちこちで“学区房”の看板が目につきます。
学力向上のための補習授業の話も相変わらず。教育部などは何度も禁令を発していますが、多くの公立学校の先生たちが休み期間を利用して補習をやっているのは公然の秘密で、学校側も見て見ぬふり。正規の授業では大事な内容は教えず、補修事業でだけ教える、というとんでもない手法もいまだ健在です。一方で、禁令を守っている地域では、足りない部分は保護者が教えるよう要求、できない親は家庭教師にすがる、というわけで家庭教師のビッグ市場が出現し、謝礼額もうなぎ上りになっています。また、子供をスタートから優位に立たせよう、という親の思いに付け込んだ教育ビジネスも過熱、典型は入学前の児童を対象にしたもので、そのスタートは何と胎教から。幼稚園の間に小学校一年生の過程は最低限学習していなくてはならない、小学校終了までには中学校の課程まで進んでいなくては……、という具合なので、その間を繋ぐビジネスも登場しています。中学教育と高校教育を結ぶ“魔界訓練キャンプ”と呼ばれるのがそれで、9月に入学する中国では、まさに夏休みがそのかきいれ時になります。
子供に箔をつけ入試にも有利と、絵や音楽などを習わせる話は以前からありますが、行政側がそう言った風潮を助長するような話も出て来ています。最近問題になっているのは高校入試での様々な加点制度。フフホトでは「環境清掃労働者として10年以上働いた者の子供に4点加点」、長春では「日本語やロシア語を勉強した者は合格ラインが5点下がる」といった特典がありますが、これらはまだうなずけるとしても、銀川のように「500万元以上投資すれば子供に10点加点」となると異論が出るのも当然です。最近、教育部が大学での実習を奨励する規定を出しましたが、早速ネット上には企業に照会されてもバレない公印付きの「実習証明」を売買するネットショップが誕生しました。それが可能なこと自体、おかしな話ですが、教育がお金で買えれば、公平な教育制度など成り立つはずがありません。

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