企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

 第七十七回  薬品市場の現状

 今、中国の医薬品市場に大変革が起きつつあります。高すぎる薬価を是正すべく、安売りス−パ−が次々と参入、政府もこれを後押ししているのですが、既存の利益構造の抵抗も根強く、各地で血みどろのせめぎあいが続いているのです。幾つか事例を挙げると、

  • 2002年4月18日、値下げを宣言した武昌の漢深大薬房が同業者に脅迫され、更に1店舗が放火に遭う。

  • 同8月31日、開心人大薬房が薬価の45%引き下げを看板に南昌に開業、連日7000人が押し寄せ、5日間で10万元の売り上げ。しかし、9月4日から卸売商たちが押しかけ、1000種近い薬品を強引に撤去、更に、値下げ即時停止を迫る脅迫電話が相次ぐ。

  • 同11月9日、恵好薬品ス−パ−が福州に開業(売り場面積1300㎡、販売常備薬4000種以上)。利益率を8%〜10%に抑えた低価格が勝負。1日平均来客数3〜4千人、売り上げ20万元(福州全体の15%)。一部の卸売商たちは「15%の市場のために85%の市場を失うわけには行かない」と商品を撤去。しかし、“恵好”の好影響で、福州の薬品小売価格は10%〜15%下落。安売り、薄利を掲げる店が増える。
このほど、政府は薬価抑制策として国家基本医療保険薬品目録中の最後に残った199種の西洋医薬の最高小売価格を公布しましたが、多くの医薬店は国が薬価基準を示した薬を店から撤去し、対象外の代用薬品のみ売ることで抵抗。しかし、杭州、南京、合肥などの各都市でも薬品ス−パ−の開業とその盛況振りが次々に報じられていて、改善の動きは徐々に北方地域にも広がっていくことでしょう。
一方、農村における医薬品問題の解決も焦眉の急。中国の都市人口は全人口の半分にも達しませんが、なんと医薬品の95%を消費し、農村では僅か5%にとどまっています。中国ではほとんどの村に薬店がなく、そのためか、毎年、全国で摘発される偽薬、粗悪品の8割は農村で発見されています。
黒龍江省では泰華薬品ス−パ−チェ−ンが52のチェ‐ン店を展開、当然、既存勢力の激しい抵抗にもあっていますが、農民の強い支持を受けています。見方を変えれば、中国農村は眠りから覚めつつある巨大な医薬品市場とも言えましょう。

三瀦先生のコラム