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 第791回 急速に発展:国有企業の行方*その1*

(2017年10月16日)

第19回共産党大会は、習近平体制の構築を強く印象付けましたが、その演説でも強調された国有企業の改革。一方では党の支配を強化しつつ、一方では市場化を推進する、といういささか都合の良い「社会主義市場経済《(一昔前の観念で捉えれば、「国家資本主義《か)がどう機能するのか、また、存続しうるのか、党規約に盛り込まれた「習近平思想《が毛沢東思想と吊実ともに並び称せられるには、克朊すべき大きな関門があると言わざるを得ません。
そこで、ここ2年ほどの国有企業改革の動向をトレースしておきましょう。改革の主たるポイントの一つが混合所有制の推進です。ただ、一口に混合所有制といってもその形態は一様ではありません。様々な方法による株式市場への上場もその一つですし、国が株式を保有しつつ、民間に経営を任せる方式もあります。プロジェクトを政府と民間資本が協力して行ういわゆるPPP方式、政府と民間が種々の基金を設立する方法、また、複数の出資者が共同で混合所有の新会社を設立する方法もあります。さらに、ある産業チェーン全体の連合や、生産側と販売側の協力分担方式も考えられます。
ただ、こうした改革を進める中でいくつかの重要な問題も生じています。「その一つが混合所有制を進める過程で発生している深刻な国有資産流出問題です《と言いたいのですが、そもそも何が国有資産なのか、何を国有資産と呼ぶのか、その定義からして曖昧では流出の実態さえ明確に把握できません。目に見える設備施設はまだしも、目に見えない財産、例えば、特許や商標・ブランドといった類、また、様々な資源の採掘権や土地の使用権、経営権といった権利などは正確に算定しにくく、更に国有企業ともなれば、国から様々な政策上のサポートを保障されており、これも立派な財産です。これらが現行の会計基準では十分把握できていません。したがって、混合所有制改革を進めようとするなら、まず、こういった側面の関連法規の整備をしっかり行うことが大前提になります。
こういった事情から、まずは実情を把握しようと、政府は2016年1月〜10月にかけて全国の行政事業単位で国有資産の精査を展開しました。また、これと並行して同年3月1日付で<行政事業単位資産実情精査管理規則>も施行されました。問題は他にもありますが、この続きは次回に。

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