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 第793回 鎮に注目!*その1*

(2017年11月9日)

改革開放が始まった1978年以降、中国の地域発展戦略は鄧小平の「二つの大局論《に基づいた沿海地方の発展、江沢民の西部大開発、その後の広域経済圏の形成を経て、交通インフラ整備を背景とした物流網整備による全国のネットワーク化に進展し、2011-15年の「第12次5か年計画を挟み、全国主体機能計画による次なる地域発展戦略時代に突入しました。この計画は国際的な一帯一路政策と密接に関連した壮大なプランですが、その一方で、中国の各地域が連携を深める中、ボトムアップの凄まじい発展パワーも噴出しています。
それは一言でいえば、各地方レベルの独自化、個性化の波です。各経済区は直轄市・省・自治区といった一級行政区の集合体であり、本来はそれぞれの経済圏が百貨店のように多くの産業を自前で抱えていましたが、物流・流通の発展により複数経済圏が互いの補完関係を密にする中、各経済圏はその独自の長所(自然・資源・交通インフラ・労働力・国境貿易など)を武器に特色ある経済圏の建設による差別化へと向かいました。これに呼応したのが経済圏を構成する各一級行政区であり、彼らもまたその経済圏の中で独自の長所を武器に、特色ある一級行政区の建設を目論みました。そしてこの奔流は各一級行政区を構成する市や県に及び、2010年代には、地域発展の実質的な単位として、県が脚光を浴び、政府も“省管県”と許認可権や財政権を県に集中させ、その発展意欲を後押ししたのです。この方針は、地方政府の暴走による上良債務の増加が問題になった時も、基本的には変わっていません。
こうした流れがここ数年、鎮レベルに及んでいます。2010年代、中国は国内消費の喚起と農村の余剰労働力の吸収という一石二鳥を目論み、都市化を強力に推進しました。その中で都市化は次第に二つの概念に大別されるようになりました。一つはスマートシティ建設に象徴される近代的な都市の建設で、もう一つが農村の余剰労働力の受け皿であり、戸籍改革の一端も担い、更に人口の大都市への過度の集中を抑制し、一方で国内消費を喚起する小都市の建設でした。こうした概念変化の第二段階が現在進行しつつある特色ある鎮の構築です。
都市化の概念には近年“以人为本”「人に優しい《という要素が組み込まれるようになりました。それは農村を近代的農村に建設しようという、都市化ではくくり切れない概念も包含し、それがまさしく特色のある鎮の建設につながり始めたのです。続きは次回に。

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