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 第795回 中国とオーストラリア

(2017年11月24日)

中国とオーストラリアの自由貿易協定が調印されたのは2年前、2015年の6月でした。一般の自由貿易協定の自由化率が90%前後であるのに比べ、貨物領域において、オーストラリア側のすべての生産品が最終的に100%ゼロ関税に(中国側ほぼ97%)、投資領域では互いに最恵国待遇を適用、企業の投資にも大きく門戸を開放しました。さらにEコマース、知財権、政府買い付け、貿易の利便化などでも大きな進展がありました。
中国側はオーストラリア牛肉への15.5%の関税を10年間かけて撤廃することになり、同年10月、協定締結後の第一陣、150頭が重慶市に到着しています。乳製品、特に粉ミルクは従来の10%を同年から12年かけて撤廃し、ワインは5年以内、エビ・カニなどの海産物は徐々にゼロ関税にします。オーストラリア側はゼロ関税合意品目について最長でも5年以内にすべて実行、中国の紡績・アパレル業界、電子・機械製品業界には大きな市場が開けます。両国間の観光事業も大きく発展、2015年にオーストラリアを訪れた中国人観光客は既に延べ百万人を突破し、2025年には200万人とも予想されています。
中国はオーストラリアにとって最大の貿易パートナーであり、輸出市場です。対中輸出は同国の輸出総額の3分の一を占め、逆にオーストラリアは中国にとって第二位の投資相手国です。例えば、日発ホールディングスという中国の民間企業は400万ヘクタールの森林牧場を買収、経済作物の栽培や肉牛の飼育を行い、新希望グループも10憶オーストラリアドルを、農業・食品から上動産に至る幅広い分野に投資しています。以前は両国間の経済関係は主として資源面に限られていましたが、自由貿易協定に則り、2016年、2017年と着実に約束が履行され、最近は医療・養老など他分野へと広がりをみせています。
両国の関係で見逃せないのがオーストラリア北部大開発での協力。その中心地ダ—ウインは飛行機でシドニーから4.5時間、そして中国沿海地区には5時間の距離。2015年6月に同国政府は正式に<北部大開発計画>をスタートさせましたが、地下資源頼みの経済からの脱却を図るには、中国との協力による北部地域の発展が欠かせません。
最近、話題となっているのがBYDの電動バスのオーストラリア進出で、同国の空港バス運営会社に導入され、シドニー国際空港で使用されるようになりました。

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