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 第796回 農村医療の改善—その1—

(2017年11月30日)

3年ほど前の2015年2月、国家衛生計画出産委員会の馬暁偉副主任は、マスコミ相手のブリーフィングで新型農村合作医療について報告し、前年末で新型農村合作大病保険が全国219地級市をカバーしたこと、今後三年、すなわちこの2017年末までに各省市をすべて網羅する予定であることを表明しました。これと前後して、国務院は<2015年新型農村合作医療活動に関する通知>を出し、医療費免除対象項目と高額医療費対象層の分布状況などを対比させて、科学的、合理的な大病保険資金の用途を探る方向を示唆しました。勿論、これと並行して、大病保険の上正使用を厳しくチェックし、支出額を抑制する姿勢も示しています。同年時点で、毎年平均一人当たりの補助額は380元、診療費と入院費用の補助はそれぞれ50%と70%に引き上げられました。
同年はまた、農村医師の本格的育成計画がスタートした年でもありました。3月に国務院は<農村医療チームの確立を一層強化することに関する実施意見>を出し、農村の医療衛生サービス網の徹底を図る方針を示しました。その主要なポイントとして、農村人口1000人に一人の割合で医者を配置すること、いかにして農村の医師が“留得住、能发展、有保障”(農村に踏みとどまることができ、成長でき、生活を保障してもらえる)か、が挙げられています。その一方で、医師資格の厳格化、管理体制の整備、質を確保するための教育、先進的治療の導入も欠かせません。この<意見>では、これらの諸問題について具体的な方策が提示されました。例えば医師の教育面では、村の衛生室が無料で3年制の中高職業医療学校に人材を送り込み養成できるよう、また、在職農村医師が中高等医学院で教育を受けるサポートもします。また、医師や助手の資格を持っている人材の招聘にも力を注ぐ、としていますが、それには様々な待遇の改善が必要で、合理的かつ安定した収入の確保が最優先課題です。
現在、政府が進めている農村医療改革の大目標の一つが都市との格差是正。続いて同年4月に<医療救助制度を一層整備し、重大疾病医療救助活動を全面的に展開することに関する意見>が出されたのは、この側面からのアプローチと言えましょう。こういった動きに合わせ、翌5月には全国140万人の農村医師を網羅する中国医師協会郷村医者分会が設立され、組織的な支援体制の構築が始まりました。この続きはまた次回に。

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