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 第797回 農村医療の改善—その2—

(2017年12月7日)

前回述べたような全体的な取り組みの開始に合わせ、2015年は一部地域で先駆的な取り組みが開始されました。とにかく、郷鎮レベルの治療水準を高めなければ都市の大病院への患者の過度の集中は避けられませんし、医療の分級診療システムの実現など絵に描いた餅ですから、一定レベル以上の医者の確保は最優先課題です。
重慶市の栄昌区のように、早くも2010年から「点数制《を導入、農村医がその働きの多寡に応じて補助金が得られる制度を導入、一定の成果を挙げている地域は例外的。そこで2015年3月の国の方針を受け、具体的な行動を起こしたのが寧夏回族自治区で、同年10月に<農村医療チーム確立を一層強化することに関する意見>を出し、収入補填システムを実施する、と発表しました。それによると、医師免許を持つ農村医師には毎月1000元、国家試験に合格し農村総合医療助手資格を獲得した者には800元、市や県の当該行政部門に登録し農村医師免許を取得している現役農村医には500元を支給します。同自治区ではまた、2016年から、農村医定年退職者に対する補助も始めました。60歳まで農村医として勤務した年数×15元相当額を住民基礎養老年金に上乗せして毎月支給する、という制度です。
こうした動きは2016年に入るとさらに広がり、4月には北京が同様の<意見>を出し、農村医への補助を従来の月1600元から3500元に増額、山間部では更に500〜2000元の上増しをすることになりました。すなわち、最僻地では5500元の補助が得られるというわけです。こうすることで農民1000人に一人の医者を確保し、同市内847の無医村をカバーしようというのです。これに続けと各地で様々な試みが始まった一方、実態をよりしっかり把握しようと、同年7〜9月に河南省新郷市の新郷医学院が華中師範大学と共同で山東省・河南省・四川省の農民1万5000吊にアンケート調査を実施しました。その結果は、対象地区の医療機構で業務トレーニングに参加した者は半数にも満たず、参加経験者で総合医療訓練を受けた者もこれ又半数に達しませんでした。結果として、今後の長期的な取り組みがいかに重要であるかが浮き彫りにされました。県レベルの病院—郷鎮レベルの衛生院—村レベルの衛生室という従来のシステムが様々な利害衝突から機能しなかった現実、この問題を如何にして是正するか、いままさにその本気度が問われていると言えましょう。

三瀦先生のコラム