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 第807回 中国医学、最近の動向—その1—

(2018年2月15日)

2016年12月、第12期全人代常務委員会第25回会議で<中華人民共和国中医薬法>が採択され、翌2017年7月1日から施行されました。内容は以下の9章からなっています。
第一章:総則  第二章:中医薬の社会貢献  第三章:中薬の保護と発展
第四章:中医薬人材の育成  第五章:中医薬科学研究  
第六章:中医薬の伝承と普及  第七章:保障措置 
第八章:法律責任  第九章:附則
そもそも中医学なるものは伝説上の三皇五帝に登場する炎帝神農氏に始まり、紀元前にはすでに『黄帝内経』などによってその理論体系が形成され、<五十二病方>が誕生、また、<神農本草経>という中薬学の底本も登場しました。その後現在にまで至る長い歴史をたどるスペースはありませんが、こうして連綿と継承され発展してきた中医薬に改めてライトを当てたのが第10次5か年計画(2001年〜2005年)に盛り込まれた<中医薬事業“十五”計画>で、2003年には<中華人民共和国中医薬条例>が発布されました。これ以後の一連の経緯と状況については本コラム196-197号、304-305号、385号を参照されたい。
2011年、『黄帝内経』と『本草綱目』がユネスコの世界遺産に登録され、2015年には屠呦呦がノーベル医学賞を受賞しましたが、その間、習近平登場後の2013年に開催された18期三中全会で「中医薬事業発展政策とシステムの整備」がその決定に盛り込まれ、党中央が中医薬を国の重要政策の柱の一つとして認知したことを示しました。
これを承け、2015年には<中医薬健康服務発展プラン(2015-2020)>が公布されて2020年に中医薬社会貢献健康システムを基本的に実現すると謳い、翌2016年には<中医薬発展戦略プラン綱要(2016-2030)>も公布されました。この綱要は中医薬産業における初の国家レベルの戦略プランで、中国医学と西洋医学を改めて対等に位置づけるとともに、中医薬の継承発展革新における独自性を認め、それに応じた管理体制と政策メカニズムの構築を重視しています。その目標は2030年には中医薬の社会貢献を全面的に実現しようというもので、これにより、中薬工業や中医薬の国際化に大きな弾みがつくことになります。綱要はまた、中医薬の法律体系や基準化、人材の育成、情報化にも言及しており、上記の<中医薬法>と連動していることは一目瞭然です。この続きはまた次回に。

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