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 第809回 中国医学、最近の動向—その3—

(2018年3月1日)

807-808号で主に2015年以来の主な動きを概観しましたが、こうした流れの中で様々な具体的な整備が進められ、2015年年初には、中医・中薬・治療効果評価・統計分析・データ発掘・ソフト関係プロジェクトなどの分野を網羅した複合型センターとして中国中医学院中医薬データセンターが開設され、翌2月には、中医の信頼を守り、健康産業の健全な発展を支えるべく、養生・保険を主題とした<中医健康養生>誌が国家中医薬監理局野管轄の下、中国中医薬報社から発刊されました。
こうした中医薬の発展には根拠となる理論を形成する中医薬学の古籍の整理が欠かせず、学界は総力を結集してこの問題に取り組んできましたが、同月、従来未整備であった400種余りの重要な関係書籍に行った直近5年間の校正注釈を整理し、叢書として順次刊行することを発表するとともに、「中医古籍整理規範」といった基準も打ち出しています。また、同年12月には、中華中医薬学界・中国中薬協会・中国鍼灸学会・中国民族医薬学会・中国薬膳研究会などが共同で<中医臨床診療指南編制通則>など109項目に及ぶ中医薬の団体基準を発表、中医薬の臨床・基本述語・評価方法などの規範化を促しています。
このような動きに合わせ、2016年8月、国務院は中医薬工作省庁横断連絡会議制度を立ち上げ、<中医薬発展戦略プラン綱要(2016-2030)>の推進をバックアップする体制を整えました。さらに同年12月には初の<中医薬白書>が発表されて、上述の中薬基準化の推進、民間医の資格問題の解決などが謳われ、これを承けて2017年1月には国家中薬基準化プロジェクトも始動、併せて、同月10日に開催された全国中医薬イノベーション工作会議では、2011-15年の第12次5カ年計画以来、中国国内で40万5000篇の中医薬に関する科学技術関係の論文が発表され、国内の中薬及び天然薬物に関する特許は11万件という空前の盛況を呈していることが報告されました。
中国はまた、中医薬の国際的な発展にここ十数年力を入れており、2016年末までに世界180余りの国や地域に普及、86の国や地域と協力合意を取り付け、中薬に関する法規、施術者に関する法規を制定した国や地域はそれぞれ119、65を数えています。こうした動きと中国基準の国際化は国際ビジネスとも密接に結びついており、今後の動きが注目されます。

三瀦先生のコラム